雨 1/3
雨 2/3
そこまで一気に話した。途中、二回ほど吐いた。
自分ことを話すのがこんなに精神的に辛いとは思いもしなかった。同時に、自分自身が本当に汚れた醜い生き物に思えた。
耐えきれなかった私は、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。今まで騙していてすみませんでした。わたしは汚れています。あなたの彼女でいる資格はありません。このまま捨て去ってくれて構いません。ごめんなさい」
そう言いながら、床に頭をこすりつけ泣き崩れた。
そんな私への彼の言葉は、まったく意外な一言だった。
「だから?」
「え……?」
「いや、お前がなにか訳ありなのは解っていたよ。それも込みでオレはお前が好きになったんだ。だから今さらそんなこと言われてもなあ」
「許して……くれるの?」
「許すも許さないも、これまでのことがあっての今のお前だろ? そこに罪が含まれているなら、俺に預けてくれればいい。それでさ、お前は、なにも考えずに甘えてくれればいいんだよ。それが俺のしあわせなんだ」
神様、ありがとうございます。彼に会わせてくれて。彼をこの世に産んでくれて。
涙とゲロにまみれた顔を、私は目一杯、彼の胸に押しつけた。
ザン、ザザン、ザン……。
雨戸を雨音が不規則なリズムで叩いている。
彼の寝息を聞きながら私は、このあり得ないしあわせが、またいつか壊れてしまわないだろうかという不安を懐き始めている。でもそれは、贅沢な悩みだ。彼の胸は、どんな雨も私を濡らすことは無いだろうから。
それならこの雨でさえ、きっと暖かい。
+ + + + +
「ちょっと休憩」
海岸線沿いにある公園で、彼は車を止めた。
背伸びをしながら
「凄い夕焼け……」
と、わたし向かって言った。
逆光になってわたしの目に映る彼は、まるで映画の一場面のようで。まるで別の世界にいる人のようで。
しわあわせな一瞬一瞬が訪れる度に、同じだけわたしは、不安な、悲しい予感を懐いてしまう。
「手、出して」
何ごとかと差し出した右手に彼は、
「違うよ、こっち」
そう言って左手を掴んだ。そして、ジャケットのポケットから指輪を一つ取り出すと、
「一緒になろう」
そう言って、わたしの薬指に、そっとその指輪を通した。
そうして、そのままわたしの左手を掴むと、クンッと引き寄せて、悲しいくらいに優しく抱き寄せた。
「大丈夫、全部オレが護るから。信じなくても良いから、傍にいろ」
あふれかえった気持ちが涙になって、堰を切ってこぼれた。
あなたが好き。
大好き。
大嫌い。
大好き。