こちらあいにの妄想短編です
ご注意ください

第5話。










ニノが好き。そう自覚すると、ニノの行動言動が全て気になる。

女の子と喋ってる!あーあー、女の子たちが目きらきらさせてるじゃん。男もダメ!頬染めてちらちら見られてるってば!

心の中で突っ込むばかりで、オロオロ目でおうだけ。
俺には全然来てくれないじゃんと思ったら、飲み会ではベタベタベタベタ絡んできて。
ほんと、どうしたいんだよっ!

案外お酒には弱いようで、1次会を中抜けしてヘロヘロで出ていったニノをお追うとする奴らを制して、ニノに追いつく。

少し千鳥足で歩くニノの背中に抱きついて、後先も考えずに告白する。前の空気が湿った気がして振り返ったニノの目じりに口付けると、しょっぱいはずなのに甘く感じた。

自然と背伸びをしたニノと自然に重なる唇。
舌を探し回って、くちゅくちゅと唾液の音が響く。腰に手を添えると力が抜けたからだを支えて、タクシーに乗り込んだ。



「あーばくん?俺んちねーここぉー、」

と言って指をさされた場所は俺ん家のとなり。
でも無性に離れたくなくて、聞こえないふりして部屋に連れこんだ。
それでもなんの違和感も持たずに、シャワーを浴びてベッドに横になって直ぐにすぅすぅと寝息が聞こえてきた。







「うーん、あの時のことよく覚えてないんだよね。」

「そーなんだ?俺的にはほっとしたような悲しいようなだったけどね。」

えー?なんて目をくりりさせながら、もたれかかってくる体を押し返す。

「チュッ……こんなコトとか?しようと思ってたの?」

いたずらっ子な笑顔でキスをしかけてきたカズの肩を掴んで、深いキスをしかえす。

「んッ……はぁ、も、バカっ!」

頬を染めたカズを押し倒そうとするけど、制される。

「まずは準備。ね?」

最後の ね に、湿気が混ざったように感じたのは気の所為だろうか。もう夜も深けて明日は9時に起きなければならない。

空港に向かうために。