こちらあいにの妄想短編です。
ご注意ください
第1話。
ドタバタと慌ただしくマンションの階段をかけ下りる。
エレベーター使いたいところなんだけど、運悪く行っちゃったところで、仕方なく全力ダッシュ。
くっそー、昨日呑みすぎたせいだ!
今日から新しい人が来るって部長言ってたのに、友達と飲んで飲んで飲み倒してしまった……
おかげで、次の電車逃したら遅刻決定だ。
駅の改札口をすんごいスピードでとおって、ホームにちょうどやってきた電車に乗り込んだ。
入口付近にたって、ゼーハー肩で息をする。
ダラダラ流れる汗を拭きつつ、空いてる席を探すけどひとつも空いてなくて俺と同じように立っている人が数人いた。
たった数駅だし、って我慢してホームにつくとまたダッシュ。オフィスについてデスクにカバンを下ろした途端、部長がやってきて連絡を始めた。
あっぶね。ギリギリセーフだ。
そーいや、今日来る新しい人って誰なんだろ。
確か、アメリカの本社からやってきたって言ってたような……?よく見ると女の子たちはどこか気合いの入った服と化粧だし、男の人なのかなぁって。
アメリカかぁ……すんごいムキムキマッチョとか?英語ペラペラ日本語たどたどしいとか?
嫌味ったらしいやつじゃなきゃいいんだけどなぁ……
そうこう考えてると、ガチャとトビラが開いて小柄な男性が入ってきた。そのとたん女子が色めき立つほどの容姿で、あっという間に目を奪われた。
ひとつでも聞き逃さないように、入社して初めてくらいの真剣さで部長の話を聞いた。
どうやら彼は、にのみやかずなりっていうらしい。ほうほう、こんなに色素薄いのに日本人なんだ!え!年齢俺の方が下じゃん。
部長が喋ってる隣で、クールな顔してるにのみやさん。するとなんと、部長が俺の前にやってきて「相葉、ここでのこと教えてやってくれ。まあ、二宮くんに習うことの方が多いだろうがな、」と、豪快に笑って背中をバンバン叩かれた。
はい!仕事開始!と言う元気な部長の声で、みんなが動き出す。にのみやさんは、俺の傍にやってきて履歴書をわたし、隣のデスクに荷物を並べだした。
二宮和也、こんな字書くんだ……
やば、近くで見ると肌綺麗だなぁ。これで、28歳なんだ!俺より3個も上じゃん。
やっぱ、本社からってことは優秀な方なんだろうなぁ。
じーっと履歴書を見てたら、二宮さんが話しかけてこられた。
「……ね?あいばくん……だっけ?ほら、会社の中案内してよ」
急に話しかけられて、声が裏返ってしまい二宮さんがくすくす笑って俺の手を取った。
そのまま俺の右手を引っ張って、オフィスを連れ出される。
距離の近い感じが、海外ってすげー!
「ねぇ、二宮さんっての辞めない?」
「え?嫌でも、先輩ですし……」
「いーのいーの、だって向こうじゃ敬語とかなかったし!それにこの会社は相葉くんの方が上でしょ?……今日から同僚ね!」
にっこりした笑顔もキラキラ輝いてて、アホみたいに口をポカーンと開けてしまった。
まだ脳内処理が追いつかない俺をほって、どんどん会話が進んでいく。
「俺の事、好きに呼んでいいよ?あいばくん。」
「えと、じゃあ二宮くん?」
「ダメダメ!まだ堅い!うーん、じゃニノは?」
「ニノ?」
「そ、よろしくね相葉くん。」
そう笑うと、二宮さ…ニノはこの建物の中、案内してもらわなくても大丈夫だよと言って、自分のデスクに戻ってしまった。