穂香を見つけて、座って待っていてくれたてんちゃん。
小走りで追いかけた穂香と私でしたが、
てんちゃんのおかあさんは薄暗い中、誰かが小走りで近づいてくるのでちょっと警戒して早足で先を急いでいました。
「てんちゃ~ん、おはようございま~す!」
穂香が追いつくと、早速柴相撲のポーズ。
恐くない相手には、やんちゃな一面を覗かせるいい子です。
公園でミロちゃんを見つけました。
穂香だとわかって、走って来てくれたミロちゃん。
「ミロちゃん、おはよう。」
ミロちゃんは、近頃自己主張し出して、なかなか歩いてくれないことがあるのだとか。
「穂香も行きたくない方には、絶対ついてきてくれませんよ。」
いくらおとうさんが引っ張っても、ミロちゃんは沼のほうには行きたくありません。
ギューッと引き綱を引っ張られて、ミロちゃんの顔が秋田犬のようになってもミロちゃんは動きません。
ミロちゃんのおとうさんが沼のほうに行きたかったのは、白鳥の声が聞こえたからです。
昨年は、団地の造成のため、高い鉄塔がいくつも建ち、いつも工事が行われていたためか白鳥の姿をみることはほとんどありませんでした。見かけても、2、3羽無言で飛んでいく姿ぐらいで、とてもさみしい思いをしました。
今年は、大変うれしいことに私も幾度か白鳥の群れを大空に見ていましたが、沼にあらわれていることは知りませんでした。
「どれどれ」と、沼を覗いてみても白い姿は見えませんでしたが、
「コーコー」と、はっきり、あのうれしい白鳥の声が聞こえました。
沼に戻ってきたんだ!
新しい造成地は、もう住宅が建ち始め、新しい団地になりました。