椅子に座ると、通路がめっさめさ狭くなる席に座っていたら、
そこにかなりご高齢のおじいさんと、娘さんらしきお二人が来られました。
おじいさんは、歩幅が2センチずつ…ぐらいの、
本当に少しずつの、すり足のような歩みで、
娘さんは、そのおじいさんに向かい合う形で両手を取って、後ろ向きに歩きながら、さっぱりとした口調で、
「お父さん、は〜い、ここつかまって〜

ゆっくりでいいからね〜
」
と誘導を。
私が席を立って、通路を広くしたら、
「あらぁ〜、ありがとう
でもいいのよぅ
座ってらして

いつも来ていて、いつも皆さん座ったままここを通っているんだから大丈夫よぅ
」
と、明るくおっしゃるので、
私も「いやぁ、この厚みだとさすがにお邪魔になるので…
」
と、自分の体を指しながら言って、
お互いに笑ってしまいました

おじいさんは、歩くことは簡単ではないご様子でしたが、お顔は、自分の足で歩くぞ、という矜持にあふれていて、しっかりとした眼差しでした。
おじいさんは、歩くこと事態がままならないので、
きっ…
と、前を見据えて歩き、
娘さんは笑って
、私と一言二言をかわして、
帰って行かれました
そのおじいさんのお姿を見て、
体を動かす、ということがものすごく大変であっても、やれることはやるぞ!という姿勢と、
きっと色々なことが胸にあるだろうけれど、
でも、ほがらであるお姿に、胸を打たれました。
何かしらやらねばならないなら、
お父さんの好きなコーヒーを飲みに行く、
そこで休憩して、
折り返して家に帰っていく、
という小さな楽しみの作り方も素敵だな、
と思いました。
私との会話が、お二人にとって、
何かしらの小さな、ちょっとした明るい気持ちになる力添えになってくれたらいいな…と、
後ろ姿を見ながらエールを送りました。
そしてあのお二人の毎日は、街に出て、
風を感じ、四季を感じて、人と会話をし、
ちゃんといろんなところからの
励ましを力に変えて、受け取っているんだろうなぁ、
と思いました。
私、あの年齢になって、
あそこまで体が思うようにならなくなった時に、
それでも体がなまらないようにと、
自分を律して動かすことができるかな…?
と、思うと、
何かあった時に、あのおじいさんは、何度も私の脳裏に力強く出てきてくれると思います。
そして、あのほがらかな娘さんは、
『何にしても、暗くなったってはじまらないじゃない
それなら、明るくいこう
』と
心に決めたでたろう日々を想うと、
すごいものを見せて頂いたな…と。
今でも思い出すと、
静かに、穏やかに、こんこんと力が湧き出てきます
