西別院の日曜法話がありました。
今日は龍谷大学の先生による、「金子みすゞ いのちへのまなざし」というお話でした。
金子みすゞは僕の好きな詩人です。
ですから、今日は楽しみでした。
先生はいきなり本題に入らず、昭和30年頃、熊本で発生した胎児性水俣病で生まれた女性と両親の話から入りました。
女性の子宮は殆どの有害物質を通さない、胎児には安全な場所であるが、唯一水銀を通してしまう。
水俣湾にアセトアルデヒド酢酸製造設備から垂れ流された有機水銀化合物を含んだ廃液が原因で、それを蓄積した魚を食べた女性から子宮を通して水銀が神経を破壊して起こる、水銀中毒病気です。
母親が魚から摂った水銀の影響で、写真の女性は23歳で亡くなっています。
母親からの水銀をすべて、この子に渡り、母親自身は発症していません。
後で生まれた弟も大丈夫でした。
この忌まわしい物質をこの少女が全て引き受けたかのようです。
これは、彼女の成人式の写真です。
抱いているのは、彼女にお父さんです。
自然に涙が流れました。
というのは、自分の身の上と重ね合わせていたのです。
30年ほど前に僕は、生後2カ月の長男がいましたが、亡くしました。
僕は遺伝性の神経難病ですが、遺伝の確率は半分です。
ですから、子供への遺伝の確率は、実は3人のうち1.5人になります。
死んだ子供が、全てを引き受けてくれ、残っている子供へは遺伝していないと・・・・
そう考えたら自然に目頭が熱くなり、視界がぼやけてきました。
父親の笑顔は、阿弥陀さんの笑顔です、娘さんは我々自身です。
人は、自分だけで生きているのではありません。
他の多くの命に支えられて生きていることに感謝しなければならないと思う、良い時間を過ごせました。
金子みすゞのことは、次の機会にします。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・