去年の1月11日に、落語「中村仲蔵」について書いています。

そのときは、立川志の輔のものを聴いて、よかったので、ブログに書いていました。

まだ、志の輔の音源は、持っていません。

そして昨日、柳家花緑という落語家の「中村仲蔵」を聴いた。

聴いたというより、観たと言った方がいいかもしれない。

WOWOWでの、W亭という番組の録画を観ました。

柳家花緑の祖父はあの、人間国宝だった、柳家小さんです。

私は、小さんの落語は、あまり聴いたことはありません。

永谷園の味噌汁のコマーシャルに出ていたので、知っている方もいるかな。

「これでインスタントかい?」を憶えている方もいらっしゃるでしょう。

その小さんの孫です。

9歳の時に、祖父小さんに弟子入りし、22歳で、真打昇進したサラブレッドです。

まだ、若手だと思っていましたがもう43歳なんですね。

でも、落語の世界では若手です。

私は、落語の語りは、若い人では、重みがなく、ある程度歳を重ねた方が、

話に風格が付いて、耳に心地よく好きである。

だから、人情噺の大ネタを若手がやっても薄っぺらで、話に入っていけない。

若手の部類に入る、花緑もそうだと思っていた。

番組の最初の話は「火焔太鼓」で、これを聴いたときは、

やはりまだまだかなと感じました。

「二階ぞめき」などもそうでしたが、3話目の「中村仲蔵」を聴いてドキッとし、

聴き入ってしまいました。

忠臣蔵の5段目、それまで弁当幕と言われて、誰がやっても変わり映えのしない

斧定九朗を、名題が演じる大役にする噺です。

志の輔の話では、役作りに苦労していときの雨の日、蕎麦屋に入ってきた

浪人のいでたちに、ヒントに役を作り上げ、それを演じる描写に迫力がありました。

それが、志の輔の声と迫力でテンポよく語られました。

そして、今回の柳家花緑の「仲蔵」は、話に絡む人物描写が大変良かったです。

苦労して、名代下まで上がってきた、仲蔵の機転、頭の良さを感じて引き取って

芸に打ち込ませてくれる、団十郎、仲蔵の演技に声も出ない観客の様子から

しくじったと思った、仲蔵が大阪へ逃げる時や、仲蔵の勘違いが判って

江戸で、歌舞伎が続けられることが分かった時の女房の描写などを、聞いていると

目頭が、暑くなって聴き入っていましました。

その時、何か話したら、泣いてしまいそうでした。

花緑自身も、目に涙が溜まっているように見えました。

それだけ、感情移入をして演じていたのでしょう。

ということで、落語のお気に入りに柳家花緑の「中村仲蔵」が加わりました。