暖かい午後、錦城高校近くの野菜直売店に行き、帰りにちょっと散歩しようと新青梅街道の交差点に架かった時、ガスミュージアムの建物が目に入りました。
「そうだ、今何か企画展があっているはず」と思い出し、急きょ寄ってみることに。

これがその展覧会「ヌエットの描く 昭和モダンの軌跡」です。
ガス灯館2階ギャラリーで開催されています。

パリで詩人として活動していたノエル・ヌエット氏は昭和5年に再来日し、昭和37年に帰国するまでの30年余り、東京の大学でフランス語の教鞭をとっていました。
その傍ら、戦前、戦後の東京の各所をまわり、その風景をスケッチや版画、詩や随筆などで表現しました。
今回の展示会では戦前の東京を記録した版画を中心に、同じ場所を撮影した現在の風景写真も同時に紹介してあるのが興味深い点でした。
撮影禁止でしたので、パンフレットで紹介しましょう。
(上)昭和11年(1936)の「歌舞伎座」
この建物も昭和20年の戦災で焼け、現在は平成25年(2013)にオフィスビルと併設された5代目の建物
(下)昭和11年(1936)の「両国橋」
橋の名称が「武蔵」と「下総」を結ぶところから来ていることを、東京の歴史を紹介したヌエット氏
の著書「東京誕生記」の中に書かれているそうです。

(上)昭和11年(1936)の「お茶の水」
震災復興の際に鐘楼の高さを抑えるなどの改修がされた、ニコライ堂を望む風景。
現在では河岸の木々が生い茂り、ヌエット氏が描いた風景を見ることはできない。
(下)昭和11年(1936)の「馬場先門」
馬場先門から日比谷濠を南に眺めた風景。
馬場先門は明治39年(1906)に撤去されたので、現在は交差点の名称に残るのみ。
石垣と垂れ下がる松の木々の風景は現在もあまり変わりませんが、対岸の建物は大きく姿を変えた。
昭和初期の東京の姿はヌエット氏にとって「古きもの」と「新しきもの」が並び立つ風景に映り、羨望と好奇心を持って東京各所を巡り、携えたペンでスケッチや文章で記録した。とパンフレットに書いてありました。
そこで思い出したのが、30年も前に取材した東欧の国(国名が想いだせず)出身で文化大学の建築の先生のこと。
彼は四国八十八カ所を巡礼し、すべてのお寺をペン画で描いた方でした。
建築の先生らしく、建物を詳細に描いた美しいペン画で、ルネこだいらのギャラリーで展覧会も開かれたこともありました。
日本が大好き、最初は家族連れで赴任なさったけれど、奥様が言葉の問題で帰国されて単身赴任でした。
「妻には内緒だけど、富士山が見える所に自分のお墓も買った」という話は今も記憶にあります。
今はどうなさっているでしょうか。
懐かしいです。
■3月30日まで開催中 10:00~17:00 月曜休館
■入場無料

