9月17日、東久留米市民プラザホールで開かれた福嶋司先生の講演会を聴きに行きました。
福嶋先生は東京農工大学名誉教授で、専門は植生管理学。
ブナ林を長年研究され、「人と自然が良好な関係を保ち続けるために」
国や都、多摩の各市で自然保護に関する幅広い活動を行っていらっしゃいます。
2年半前、当時放送大学の客員教授でもいらした頃取材させていただきました。
終始ニコニコと植物の話をなさり、とても楽しい取材だったことが印象に残っています。



東京の森林面積は794k㎡、これは都全体の36.3%にあたり、その割合は千葉県、埼玉県よりも高い。
多様性に富み、それぞれに個性豊かな森が生き続けている。
東京23区内にも大規模な緑が残っており、浜離宮には中国から将軍吉宗に献上された日本初のトウカエデ(唐楓)の大木が300年の歴史を刻んでいる。
また、吉宗はベトナムから象の雌雄2頭を輸入し(雌は長崎到着後死亡)、雄象は長崎から江戸まで歩くこと何と約2カ月半。
到着後は浜離宮で飼育されていたというユニークな話が伝えられている。
明治神宮の森は計画的に東京の自然にあった常緑広葉樹林が造成されたもので、国民に広く「献木」が呼びかけられた。
現在の自然教育園からも園内の高木1万本以上が明治神宮用地に運ばれた。
武蔵野の「雑木林」は江戸中期頃より育成されてきた人工林。
防風や防塵、生活資材や肥料とする目的で造成された。
屋敷林も冬季の赤風対策として造成されたもので、シラカシ、ケヤキ、スギなどを植栽し、生活必需品の資材とした。
しかし、武蔵野の緑地面積は減少しているのが現状。
バブル期の開発や相続税納税のための売却、郊外の大規模開発(学校や団地建設など)や雑木林自体が管理放棄され、林が弱体化している。
残存する林をどう維持、管理していくか(萌芽再生、伐採・再生、遷移に任せるか)。
東久留米市には南沢緑地保全地域など8つの地域の雑木林が保全されている。
その中でも鬱蒼とした屋敷林が集まる柳窪集落は一時期、次々に住宅が建ち乱開発されそうになった。
しかし地元有志たちの熱意で市街化区域から市街化調整区域へと用途変更され、この地域の自然が守られた。
以上は福嶋先生のお話のほんの一部ですが、この日は講演後、南沢緑地観察が予定されていたものの、折からの台風18号の接近のため中止。
その代わり、国立にある一橋大学の森の歴史や植生、大学関係者や卒業生、在校生が一丸となって森の管理を行っていることを話してくださいました。
今年3月に出版のカラー版『東京の森を歩く』はこの日のお話も含め、東京の豊かな自然をその歴史とともに楽しめるガイドブックです。
福嶋先生が自ら歩き、写真を撮られた、愛情あふれる本。
知らないことばかりで、東京には何と魅力ある森が多いのだろうと思いました。
東京の森を散策するのにいい季節になりました。
この本を片手にぜひ出かけたいです。

講談社現代新書 定価:本体980円(税別)
講演会を企画運営した「NPO法人東久留米の水と景観を守る会」は、柳窪集落保全活動など自然と景観を守る地道な活動を長く続けています。
9月30日には「柳窪見学会2017秋」が実施されます(残念ながら9/20申込締め切りでしたが)。
毎年春と秋に開催しています。
福嶋先生のほのぼのマイタウンインタビュー記事はこちらからどうぞ。
http://honobono-mytown.com/csv/T171/V171.pdf
この夏、わが家の隣地の小さな雑木林が消失したことはブログでお知らせしましたが、
先生の「一度無くなった雑木林は再生しない」という言葉が今さらながら胸に響きました。