腹部の血管に、大きなこぶが

あります。

直ぐに外科を受診して下さい。

母の通院介助に付き添い、

主治医から告げられた言葉です。



それは、

腹部に動脈瘤が出来ていて、

手術という方法もあるけれど

危険を伴うそうです。

年々大きくなっていき

破裂すれば、助かる事は無理で、

自分では自覚症状がないまま

分からずに、突然 腹部の痛みに

襲われ亡くなる病気だそうです。



母と私は、もともと価値観が

大きく違い、気持ちよく

話せたことが少ない親子でした。

仕事で忙しかったせいもあるのか、

指示や命令が多く、

受ける私にとって、本当に

もやもやとした気持ちになるのは、

当たり前のことだったと思います。

又話しかけられ返事を返しても、

生返事で聞いていない

といった事もたびたびあり、

母とはどーしても合わない!

嫌だわと思っていました。



この病気には、血圧が関係し、

ストレスを抱えたり

重いものを持ったり、

トイレで力んだりは、

危険ですよと注意を受けました。



診察室を出てから、

一番の血圧の原因は、ゆみだよ!

と母からポツンと言われ、

そうだよね…

今まで沢山の心配をかけて

しまっていた事、

色々ありすぎるぐらいあった

私の人生を思いました。



母の死を意識すると、

不思議なのですが、

毛嫌いしていたはずだったのに

父の死より大きなショックを

受けた私がいました。

嫌い嫌いといいながら、

もしかしたら、

大きな器でもある母に

依存していたのかもしれません。



帰り際、お腹が空いたねぇ~と、

回転寿司に入り、

美味しかったと共有出来た時間、

そうだったのね、

と相づちを打てた話、

そんな当たり前の小さな出来事が、

亡くなった後になって、

きっと甦り、宝物になるのかも

しれません。


もう少し早く気付けば

良かった!

これからの煮詰まり凝縮した

時間を愛おしく思いながら、

一人暮らしをしている

サービス付き高齢者住宅へと

車を走らせました。