くしゃみ、は気まぐれ。たまに現れたり。何度も何度も行ったり来たりしたり。終いには現れかけて帰ったりもするもんで。僕は振り回されている。手を焼いている。本当に。でも嫌いじゃない。そんな関係。
個人的にくしゃみは「はっくしょん」でひとくくり。「はっ」と気づいて「くしょん」と発砲。それはもう思う存分。その衝撃で自分が吹き飛ばされることも、しばしば。ただ、とってもスッキリする。「くしょん」に全てが詰まっている。嫌なこと、恨み、妬み、嫉み、悲しみ、黒くて、暗くて、モヤモヤしたもの。ぜーんぶ、出し切る。なんてことはできなくて。わかってはいるけど、くしゃみなんかでどうにかできるわけでもなくて。でも、くしゃみを出し切るスッキリはある。びっくりする。僕は突然おじさんになる。きっとそう。くしゃみは知らない自分を曝け出してしまうのだろう。だから気持ちいいんだ。そうだそうだ。
街、たくさんの、波、波、波。自分の左斜め前を歩いていた人がくしゃみをした。きっと。くしゃみらしきものをした。その人のくしゃみは「…ハック」だった。え、「ション」は?僕がそのくしゃみをしたわけでもないのに何故だかモヤモヤした。今もしてる。「ハック」のどこに盛り上がりが、頂点が、サビがあったのだろう。ぐるぐる。ずっと。気になって仕方がなくて。ぐるぐる。ずっと。ずっと考えていたら。トイレに行きたいことを忘れていた。
突然の尿意に急かされて。僕はトイレへ駆け足。尿意も気まぐれ。気分屋だらけ。