雨、降り。雨、減る。雨、降り、経る。
道には点々と。水溜り。少し憂鬱。
昔読んだ小説をぼんやりと思い出す。水溜りがエロいと表現されていた。それは登場人物の心情だった気がする。もう作品も作者も思い出せなくて。この記憶すらあってるのかも危うくて。これは無意識な創り話では、とも思えてくる。ただ、それ以来僕の中で水溜りはエロい、という認識が根付いてしまった。別に嫌ではない。読みながらなんとなく同意した自分もいたわけで。説明しがたい、この感じも好きだ。感覚。そう、感覚的な。あの感じ。そういえば、何故、水溜りを避けるのだろう。みんな、こぞって。濡れたくない、もあるかもしれない。でももっと、別のところにある気がした。もっと、その、言葉では表現しがたいところに。
雨上がり。水溜り。水面に、自分。
こぞり避けるのは、きっと。映る自分を踏みたくない、わけじゃなくて。避けたいのだと、思う。映り込む自分を。みたくない部分を。
黒い鳥が泣いた。
あ、そういえば、どうなっただろう。どこかへ消えた奴ら。うやむやにして逃げて行った奴ら。なかったことにされたのだろうか。
雨、降らぬ。けれど、じわり。
溢れる。蟠り。少しずつ憂鬱。