両親が激しい喧嘩をするようになってしばらくしてから、お母さんが嬉しそうにこんなことを言ってきた。


お母さんの友達と一緒に遊びに行こう!


私は、友達って女の人だと勝手に思ってたんだけど、その友達は男の人だった。

お父さんより年上のおじさんだった。


子どもながら強烈な違和感を感じたのを、はっきり覚えてる。

その違和感を飲み込んだことも、はっきり覚えてる。


お母さんには、おじさんのことは誰にも言うなと言われた。

お父さんにも、祖父母にも、叔母にも、絶対に誰にも言うなと言われた。


そのうち、そのおじさんと泊まりで旅行に行くようになった。


当時、お母さんとおじさんの働いていた会社の保養所に泊まったことがあるんだけど、そこでは家族しか泊まれないらしく、旅行の間はおじさんを「お父さんと呼びなさい」と言われた。


私にはちゃんと本当のお父さんがいるのに、そんなこと言えるはずもなかった。


でも、「言えない」なんて言えなかった。


お母さんの気に入らないことを言ったら、ヒステリーを起こしてブチギレられるだけだから。

もしくは、「もう来なくていい。一人で留守番してたらいいよ。」と脅されるから。

恐ろしくて言えるはずなんてなかった。