小学5年生の冬、両親の離婚がやっと決まった。
大好きなお父さんと会えなくなるのは寂しかったけど、もう両親の喧嘩の声を聞かなくて済むんだとホッとしたした気持ちの方が大きかった。
これまでも、お母さんは事あるごとにお父さんの悪口を私たちに言い続けた。
お父さんがいかにダメな人間かを、ひたすら私たちに聞かせていた。
離婚が正式に決まった時、お母さんは私たちにこう言った。
あんたたちはお父さんに捨てられたんやからな!
その頃にはもう、そんな言葉に傷ついたと感じることもできないくらい、私は感情を麻痺させていた。
ただ、それが嘘であることは知っていたけど、嘘だと思っていることをお母さんに悟れてはいけないとだけ考えていた。