原作大好きです。

パラレルもいいけれど、原作の蓮キョがやっぱり一番です。


《注意》原作を読み返す時間がありません。社長の言動や、ラブミー部の設定など、うろ覚えで書いています。お見苦しい表現があると思いますが、ご了承ください。テキトウな話は嫌だという方は読まれないことをおすすめいたします。



すごく軽く読んでくださると、ありがたいです。

すご〰く、すご〰く、軽〰くですよ( ・∇・)




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「おりいってお願いがあります。」

私は、そう切り出した。

その申し出を受けた、目の前の南の島の王様……………の仮装をした雇用主は、私の鬼気迫る様に目を瞬いた。













「最近どーよ?……………ラブミー部を卒業できるように、次の課題でもこさえてこようか?」

宝田社長は、私をタレント部でみかけるなり、そう声をかけてきた。

「…………………………。」

「……………なんだ?まるで、『私、仕事も順調だし、ぶっちゃけラブミー部とかどうとか忘れてました。卒業?はあ〰もうどうでもいいですよー?』みたいな面構えだな。」

一瞬返答につまった私に、ニヤっと笑う社長。

「…………………………いえ、そのような……………」

「ハイハイ、図星なんだろ?でも、こっちにも雇用契約ってのがあるからなあ。最上君のマネージャーの社も最近うるさいし、そろそろ真面目になんとかするか。」

社長はぶつぶつと呟くと、そのまま去ろうとする。


これは、チャンスだと思った。

私の中に芽生えた気持ち。
それを実行にうつすチャンス。

覚悟を、決めるとき。

「…………………………いえ、違います……………。」

「……ん?」

「自力で卒業……………できるかもしれません。いえ、してみせます。」

社長は、少し目を見開いたあと、軽く頷くと、「社長室に来なさい。」と言ってタレント部を去っていった。











おりいってお願いがあると言い出した私に、目を瞬いた社長。…………は、しかし穏やかに笑って、「俺にできることかな?」と言った。

「社長さんにしか……………できないことです……!」

「……………?」



……………よし、言え!

社長さんはきっと応援してくださる。

社長さんはきっと、私を見捨てたりしない。

この事務所から追い出したりしない。

だって、愛がなによりの大好物な人なんだから………

愛にぶつかって砕けた私を、見捨てたりはしないはず……………!!


よし…!!言え!!


「私、敦賀さんに告白します!」

「……………!!…………………そ、うか……………うん、わかった。それで……俺にしてほしいことというのはなにかな?」

「……………告白をした私を、敦賀さんは許さないでしょう………。呆れ果て、軽蔑するはずです。」

「…………え?」

「同じ俳優として恥ずかしいと、敦賀さんに共演を断られたりして、結果として演じる世界から追い出されるかもしれません。」

「…………………………え?」

「敦賀さんはその手始めとして、まず私を、この事務所から解雇するように社長に要求してくる可能性があるのです。」

「………………………………………え?」

「そこで社長さんにお願いです……………!それでも私を雇い続けていただけないでしょうか?社さんがマネージャーから外されるのはすごく寂しいですが、それは仕方のないことなので諦めます。………でも、いち芸能人として、いち女優として…………ここで頑張りたいんです。お仕事を一生懸命やり遂げる楽しさを手放したくないんです………!…………………………社長さん、どうかお願いできませんか………、お願い致します!!!」

勢いよく頭を下げた私に、社長が小さく息を吐いた音が聞こえた。

「……………わかった。約束しよう。君を解雇したりしない。ラブミー部を卒業後は、元来の約束通り、君を全面的にバックアップするよ。今、書面で残してもいい。」

「社長さん……………」
ありがとうございますと続けようとした私の言葉はすぐに遮られた。

「最上君、理由を聞いてもいいかな?」

「……………はい?」

「蓮にフラれるのが前提というのはまあ最上君の発想の自由だが、告白そのものを許さないとか……………しかも、演劇界から追い出されるというのは穏やかじゃないな。……………あいつの肩を盲目的に持つつもりは無いが、蓮は、仕事には真面目だ。気に入らないという理由で、職場から一方的に迫害するような人間じゃないと思うんだが………君も……基本的にはそう思っているんだろう?だから、先輩俳優として尊敬している。……………違うかな?」

「……………そ、れは…………………………」

「…………………………まあ、その理由を言いたくないのなら、無理にとは言わないが……………」

そうよね、社長さんは敦賀さんのことをとても大切に思っているし、信用もしている。なのに敦賀さんが、パワハラみたいなことをしようとしてると言われても、にわかには信じがたいわよね……。

でも、社長さんの協力なくしては、私の女優としての未来はないに等しい……。

ここは、社長さんに曇りひとつなく納得してもらえるように、状況だけでもきちんと説明しないと…………。


「ええ、と……………。私が16歳で芸能界に…………この事務所に飛び込んだ理由や……………私が、人としての大切な感情を失ったことの……………それらの全てに繋がることでして…。うまく言えないのですが………私が、恋愛感情を敦賀さんに向けることが、敦賀さんには全く理解できない……………と言いますか。承服しかねる出来事……………だと思うのです。」

「……………ふぅ……ん、そうなのか……………。でも、君達は…俺の目から見ると、とても仲が良さそうに見えるがな。」

「……………それは敦賀さんが……………『最上キョーコは自分に恋愛感情を持たない人種』だと信じこんでいるからです。敦賀さんにだけじゃありません。他の男性に恋をすること自体も、あり得ないことだと思っていらっしゃると……………。」

「……………そんなふうに蓮に直接言われたのかな?」

「そこまではっきりは……………でも、以前そういった約束をしましたし……………、最近も言葉の端端から、そういう考えがうかがわれます。敦賀さんは、私という人間は演じることに……………仕事に生きる女だと思っているんです。敦賀さんは、私のそこを評価してくださっていて、後輩として特別に目をかけてくださっているんです。」

「具体的に、俳優の後輩として特別扱いを受けていると感じる出来事があるんだね?」

「……………はい。まず、労いや激励、相談に乗ってくれるとかおっしゃって、よくごはんに誘ってくださいます。まあ、私の希望で私が作ることが多いですが………。それに、敦賀さんのマンションで、台本読みの相手をしてくださいます………逆に頼まれることも………。でも、それはきっと敦賀さんには不要なのに、私の成長のためだと思うんです……………。」

「……………ふむ、あとは?」

「あとは………これからの仕事に活かせるだろうと見聞を広げるために、外にも連れていってくださいます。二人で牧場に行って乗馬や巨大迷路をしたり、クルーザーで釣りとか……………。忙しい敦賀さんが、隙間時間を使って、都内で色々と体験させてくださるんです。あ、しかも、先週は北海道に弾丸日帰り旅行の予定で……………雪祭りの雪像を見てきました。夜のライトアップは感性を磨くのには最適だと………そのために結局泊まりになってしまって…。しかも、雪祭りで混んでいてホテルの部屋がとりづらく、スイートでダブルベッドに寝ることになってしまいまして……。私としては、敦賀さんに海鮮丼を思いの外たくさん食べていただけて嬉しいばかりでしたが………翌日に始発の飛行機で帰ってくることに。私はもともとお休みだったのでよかったんですけど、敦賀さんはそのままお仕事へ…………。私のせいで、お疲れだったと思います。しかもしかも、そういった課外学習の代金は、いつも敦賀さんもちなんです…………………………。」

「…………………………。」

社長さんは、ひどく呆れた表情で小さな小さな声で何か呟いたけれど私には聞き取れない。

自身の事務所の大切な看板俳優にそんなことをさせて、私は社長さんに怒られるのかなと思ったけれど、怒っているようではなかった。

「……………ダブルベッドには…………二人で寝たの?」

「……………あ、はいっ、敦賀さんのお宅程ではないですけど、キングサイズだったので、二人でゆったりと眠れました。私は二人で同じ寝床に寝るのはどうかと思ったのですが、カインとセツの頃のこともありましたし、やっぱり、暖房が効いているといっても雪国ですし……………風邪でもひいてしまってはと。役者は体が資本ということで……………」

「ものは言いようだな。」

「あ、ご、ごめんなさい!」

「君にじゃない………蓮に言ってるんだよ……。」

「………ぁ、はあ……………。」

「んで?それらの君の見解は?」

「あ、はい。……………敦賀さんは……私を育てるために、本当に労力を割いてくださっているんです。他の後輩さんで、私みたいにかまってもらっている方は誰一人いません!後輩育成に尽力してきた対象の私が、恋愛にうつつをぬかしていると…………まるでデートみたいだと思っていたと知られたら………。私が、浮わついた気持ちで喜んでいたと知られたら……………。」

「その場で押し倒されるかもしれんな。」

アッサリと社長は爆弾を落とした。

「そ、そ、そんなに…ご立腹……………!?」

敦賀さんに押し倒されたら、私じゃひとたまりもない。かすり傷じゃすまされないだろう。普段は『女優の体なんだから』とか『女の子なんだから』と言って、敦賀さんは、私を、とてもとても丁寧に大切に扱ってくれているのに。

それなのに、押し倒され……………!!!


「ハハハっ!さすがにラブミー部員1号の思考は、伊達じゃねえなあ。」

私の頭の中を、私の表情から読み取ったらしい社長は、アッパレだと言んばかりに笑った。

「しゃ、社長さん〰〰?」

「……………涙目で怯えるとあいつが不憫だから、やめてやってくれな。」

「……………?」

「最上くん、現状はわかった。」

「は、はいっ」

「よし、質問を変えよう。」

社長はそう言って、少し身をのりだした。