ご注意ください。

前々回、前回との2回に渡って、色々とキョーコさんの扱いで酷い描写がありました。それでも、別館の方に拍手もありまして…。まだ読んでくださっている方もみえるのかな…と思い書き続けております。

まだマシになりましたが、男性が女性に対しての強引な扱いをすることに不愉快に思われる方は、読まれない方がいいかと思います。

気を付けてくださいね。

苦情は受け付けませんので。

本当に気を付けてくださいね。

ところでこれは限定でのUPにするべきだったのか……(・_・?)


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身勝手に体に触れていたのに、とても怖い思いをさせたはずなのに。

なのに。

想定外なことに、キョーコがお風呂に入ることを了承した。




唖然と佇む俺の目の前で、キョーコは、目をふよふよと泳がせている。

「あ、動き…ずらいよね?」

キョーコの放つまるみを帯びた空気が刺々しいものに変わってしまうのが恐ろしく、気の利いたことを何か言わなくてはと焦った。とりあえず目についた状況を、キョーコが楽なように改善することにする。両腕に巻き付かせている上着を解いた。

「あんまし…見ないでください。」

キョーコは縮こまりながらぽそぽそと話すが、俺は気が気ではない。

なんだ?どうした?まだ未遂とはいえ、俺は「もう何もしない、君を無傷で解放するよ」とは言っていない。だいたい、さっきまで相当酷い目に遭ってたんだよ、君は。それなのに、どうして今、『モジモジ』なんだ?

…表面上は一見穏やかそうに見えて、その実は恐怖に発狂してるとか?それとも、俺のスキをついて逃げようと画策してる?


「…あの、あと、鞄取りたくて。」

「な、なんで?」

どうしても声が上擦る。

キョーコの鞄には携帯電話が入っているはずだ。

……俺の犯罪めいた行為を警察に通報するのか?それとも社長に助けを求めるとか?…いや、社さんの可能性も…。

「鞄にはメイク落としが入ってるんです。拭き取りシートが……。」

キョーコは、おずおずと俺の様子を伺うように話す。

確かに泣きじゃくったあとでメイクも剥がれて気持ち悪いだろう。肌のためにもメイクはメイク落としで落とした方がいい。

でも、それ今!?今気にするところ?

「…あ、そう?じゃあ、お風呂に先に入ってるね。タオルとかは自由に使って?」

俺は混乱を極めつつも、実際に自身の体が濡れて冷えてきたのもあり、先に浴室へ向かうことにした。とりあえずシャワーをざっと浴びて湯槽に浸かる。

彼女は一体どういうつもりなんだ………!?

真意の全く測れない彼女の行動に、俺の思考が困窮を極めた時、脱衣場でゴソゴソと音がして。

「あの、敦賀さん?」

「う、うん?」

ほ、本当にきた!って、来てくれないと困るんだけれど…………。

「あっち、向いててくださいね?絶対に、こっち見ないでくださいね?」

「え?あ、あ!うん、もちろんだよ!」

キョーコの動きを背中越しに感じる。普通にシャワーを浴びているようだ。

「ただいまより最上キョーコ!僭越ながら、神の寵児でおわします敦賀…………、…っ、ではなくて、あの、その…お邪魔します…」

キョーコも相当混乱しているのか、いつも以上にテンパっている。

……当たり前だけど。

しかもこの期に及んで、『神の寵児』とか、もう俺はどうしたらいいんだ。

ちゃぷり、と音を立てて、キョーコが湯槽に入ってきた。



「「……………。」」



…このままってわけにもいかないよな…。この場合、やはり動くべきは年長者の俺か…。
今後の展開が読めないが腹をくくり、事を進めることにした。

「そっち、向いてもいい?」

「…はぃ…。」

振り返ると、そこにいたのは、何も身につけていない恥じらっている可愛い可愛いキョーコだった。

ついさっきまで散々弄んだキョーコの柔らかい体が目の前に……だなんて…………続き、してもいいのかな…。

ゴクリ、と喉が鳴ってしまうのは、もう隠しても無駄か。

でも、いや、やっぱりだめだよな。

話、しないと。

きちんと彼女の気持ちを吐き出させないと。

「……キョーコ。俺に言いたいことない?」

裁かれるべきは俺。でも、やはりキョーコを諦めるなんてこともできはしない。

できるだけ優しい声で促す。まずはどんなに罵倒されても仕方がないのだから、彼女の怒りや不満を全力で受け止めよう。


「「……………………。」」


沈黙が続く。…我慢だ。今の俺は待つことしか許されていない。

「…さい。」

「ん、なあに?」

「ごめんなさい!」

「な、何が…?」

また先程の繰り返し…?いや、もう腹を立てる気は無いが、一体何に対してのごめんなさいなのか皆目見当がつかない。

「何のごめんなさい?」

「お、怒らないで聞いてくれますか?」

「あ!あ、うん、もちろん!おとなしく拝聴させていただきます!」

下半身のみタオルで隠した裸のままだが背筋を伸ばす。

「その、あの…ふ、不安にさせて、ごめんなさい。」

「…っ!?」

視線は合わせないままだが、キョーコが意を決したことはわかった。

「私の態度が敦賀さんを不安にさせてたんですよね?私がいつまでも後輩の頃と変わらない態度だったから。好きとかって言葉もないし、いつもへりくだって敦賀さんを奉り(まつり)上げるみたいなことばっかり言って!そんなのは慇懃無礼だって言われました!誉め殺しだって!敦賀さんは私のこと、か、か、かかか可愛いとか、す、す!好きだって言ってぎゅってしてくれたのに、私にも気持ちがわかるように表してくれたのに!なのに!なのに、私が、私が!自信が無いばっかりに、私なんかじゃ敦賀さんに釣り合わないって!っったしのっ、わ、たしのっせいで、づるがざんが、〰〰〰っ!づらぐで、がなじぐぅぅ〰「うん、わかったよ。」」

たまらずキョーコを抱き締める。

「ありがと。わかったから、うん。」

裸同士で肌と肌が密着してクラクラするけれど、まずはキョーコを労りたかった。

「ち、違うって、恋愛ゲームなんかじゃ、ないって、ちゃん、と好きで、だから、敦賀さんのこと、お、汚物だなんて!気持ち悪い、だなんて、思ってなくて!敦賀さんに触られ、ると、安心、して、気持ち、良、くて、だから、悲しいがぉ、しなぃでぇ〰」

泣きじゃくるキョーコのおでこに俺の頬を擦り付ける。

ああ、一生懸命話してくれてる。

キョーコが、一生懸命俺の気持ちと向き合おうとしてくれてる。

嬉しくてたまらない。

申し訳なさすぎてどう謝っていいのかわからない。

あんな酷いことをしたのに。キョーコの気持ちを疑って勝手にキレて、なじって、怒鳴り散らして。力で抑えつけて言葉も奪って、好き放題に舌も手も体じゅうに這わせたのに。

それなのに、キョーコは、それが自分のせいだって言ってくれるの?

そうやって、俺の暗くて寒い闇を一掃して、暖かく照らしてくれるんだね。

ああ、そんな彼女に、俺はどうやって償ったらいい?どうしたら彼女の受けた屈辱や悲しみは軽くなるんだ?

「本当にごめん。ごめん。ごめんなさい。ごめんね?ごめん、ごめんなさい。」

謝ることしかできない俺に、キョーコはふるふると頭を振る。

「ごめんじゃないです、敦賀さんは悪くないです。私が、こんなんじゃなかったら、さっきみたいなことには……。あ、あと、二ヶ月前のこと!違くて、敦賀さん、あの会話どこまで聞きました?途中までですよね?最後まで聴いてないですよね?」

「あ、あー、うん。女としての初めては大切にしてる、みたいな。辺りまで、かな?ちょっと聞いてただけだから。」

「やっぱり!」

赤いながらも、器用に青ざめるキョーコ。

でも、そんなことよりも。マズい。

キョーコに許されてるんだって、ちゃんと俺のことを想ってくれてるんだってわかった今、もうこれ以上この状態が続くのは俺自身がマズい!ああ、今だけはどうしても、自分が健康な体の持ち主の男性であることを恨まずにはいられない。

「てかストップ!ごめん!話を適当にするつもりはないんだけど!俺には、この状態は生殺しで、本気で君を危険に晒してしまうから!だから話の続きは、きちんと服を着てからにしませんか?…ごめん、ね。ほんと…。」

キョーコは、俺のいきなりの言葉にぶわっと赤くなったあと、コクコクコクコクと何度も頷いた。







リビングで二人して湯上がりにミネラルウォーターを口にする。

隣で茹でダコみたいに真っ赤になりながら所在なげな、でも体が温まってリラックスしたキョーコを見下ろして、やっぱりお風呂に入ってよかったな、と心から思う。着るもののないキョーコには、俺の厚めのトレーナーを貸した。素のキョーコは、本当に可愛いらしい。




………あー、ダメだ!体の中心に溜まりだした血液が、また俺の雄の欲求を駆り立てる。

キョーコに対して反省する気持ちは本当なのに、でも、「さっきの続きしようってどう切り出そうかな」って、俺の頭の中はもうそればかりになってきた。

でも、悪いのは俺だけじゃないと思う。

責任転嫁なんてしたくはないけれど、キョーコもだいぶ悪いんじゃないかな、と。お風呂に入る前から、今でもだけれど、雰囲気が柔らかすぎる。

さっきも、擦過傷に軟膏を塗る時だって、大人しくされるがままで。

はっきり言って、キョーコの表情は柔らかいを越えて、甘くさえある。どこをどうとっても、「寝室にはいつ行くのかな?ドキドキするっ!キャッ!」の様な思考しか読み取れない。

でも、それでも、そんな俺を強い罪悪感が止めてくれる。お風呂に入る前の悲惨な姿のキョーコ。あんな姿にしたのは俺なんだ…。

また謝りたくなってきた……。

「キョーコ?」

「ぅあっ!あい!?」

ほら、またさらに可愛い顔をする。絶対、今、寝室に誘われるって思っただろう?

そんなふうにされると、俺の体は熱くなる一方なんだよ?

「くち、塞いだりして、ごめん。両腕、縛りあげたりして、ごめんね。ごめんなさい。怖かったでしょ?謝ってすむことじゃないけど…。怖い、嫌だって君が叫んでいるのはわかっていたんだけど…。もう絶対あんなことしないから。でも、許してほしいとは言わない。ただ、そういう、キョーコの恐怖とか、体の傷が癒えるようにとか…その、協力させてもらえたら…。」

「あ、え、と。」

だから、なぜにそこでさらに赤面なんだ?

「あのですね、あの。敦賀さんがそうやって御自身を責めるのは私も本意ではありませんので…弁解いたしますが……。あの時私は、『お風呂に入りたい』って叫んでたんです。」

「…へ?」

お、お風呂に入りたい?……そういえば、何か本当にしっかり何かの言葉を話している感じではあったけど…頭に血が昇ってたし、拒絶の言葉を聞くのは怖くて、キョーコの叫び声を意識的に解読しないようにしてたから…。

「お風呂、入りたいですよ、そりゃ。だって、あのままじゃ、ベッドが濡れて汚れちゃうし…それに、それに!撮影の時、すごく汗かいて!し、寝室にって、あの、さ、触られるじゃないですか!体!汗臭いとか!それに、それに!しかもインナーは可愛いくないやつで!だって、だって!ベージュですよ!?ベージュ…、結局見られちゃいましたけど…。」

明らかに悲しげに落ち込んでしまっまキョーコに、不謹慎ながらも俺は嬉しくて仕方なくて。でも、何か気の利いた言葉で慰めないと。それに、ごめん。やっぱり、俺がもう限界。

「そんな、インナーなんて、何でもいいよ?撮影のためとか、色々都合もあるだろうし。」

「〰〰〰〰。」

うつむいて悲しげなままのキョーコを、そうっと抱き締めてみる。ギクリっと体が強張って、キョーコの緊張が伝わってくるが、俺のシャツの裾をキュッと握ってくれる。

「それに、俺が興味津々なのは、キョーコそのものなんだけど?」

ほら、また真っ赤になった。
それ、誘ってるんだよね?『違います』は、もう受け付けられないよ?

「たくさん、キスしようってさっき言ったの覚えてる…?…今、してもいいですか?」

小さく頷く頭。

ああ、もう!可愛くて可愛くて仕方ない。

両頬を包んで上を向かせると、緊張して一文字になっている唇にそっと俺の唇を触れさせる。ゆっくりと擦れさせたり、舌でノックしていると、俺の意図を汲み取ったのか、キョーコが、唇を緩めてくれた。そのまま、キョーコの口内に入り込み、粘膜を堪能する。

「お風呂…入ったし。寝室、行こうか?」

キスの合間にそう問えば、キョーコはシャツを一層強く握ってくれた。


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え?えぇ!?終わらなかった!!