好き放題、勝手し放題( ̄∇ ̄)

ちなみに私は、社会人としてのルールやマナー、言葉遣いが新卒レベルのチープさです。きっちり社会人のそこの貴女様。不愉快になる前にバックpleaseやもしれませぬ( ̄∇ ̄)ゞ




~~~~~~~~~~~~~~~~


はじめまして。
わたくし、松島と申します。

職業ですが、「LME芸能プロダクション」俳優セクションの主任を勤めさせていただいております。

実は、その職場での悩みがありまして…。

ご存知の方もいらっしゃるかと存じますが…わたくしの担当セクションに所属する「敦賀蓮」は、若年ながらも「LME」の稼ぎ頭の俳優でして。…あ?ご存知?どうもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

で、ですね。本日、この「万屋お悩み相談室」の門を叩きました悩みの大元…元凶と言いますか…が、ですね、その…その、「敦賀蓮」でして。

いやあの、私の最近の悩みを吐露するにはここしかないとすすめられまして。え?誰にかって?あ〰その。ポテト、特に揚げたポテトが大好きな企業看護師さんからでして…。わたくしの女性同僚曰く、いつも「萌え」を求めてはいるが、看護師としての経験や知識は豊富なベテランとのこと。その看護師さんから、ストレスは健康の最大の敵と指摘があり、悩みは聞いてもらうだけでも楽になれると…。男性は悩みを内に溜め込んでしまうからよくない、時代は予防医学にシフトしているから、まずはストレスを発散させて病気を防ぎましょうとのことで。まあ、私も年も年ですし、最近色々と老いも感じると言いますか…。

そこで、こちらは守秘義務が徹底されているとうかがいまして。で、藁をもすがる思いで有休を使って参った次第です。

わたくしの想いを、偽りないそのままの気持ちを、ただ「そうかそうか、大変なんですね。」と聞いていただけたらこんなに嬉しいことはありません。

どうぞよろしくお願いいたします。



では、この相談室のならわしに沿って、言いたい放題わたくしの胸の内を明かしていこうと思います……。









蓮は、仕事には自他共に厳しいプロフェッショナルだ。浮き沈みの激しいこの業界において、磐石な基盤を築き上げている。その輝く様は、俳優業もモデル業においても他の追随を許さない。

「完璧」って言葉は、こいつのために造られたんだろうなあと思わずにはいられない。

だが実はその蓮のことで、ここ一ヶ月程気になることがある。彼の様子が変だ。…変。いや、変とも違うか。彼はもともと春の日溜まりと称される雰囲気をまとっているのだが……今の状態を同様に表現すると…うーん。さらに春のお花畑が加わった感じ?…あ、そう!そうだ!頭にお花が咲いてる感じ!そうそう、それだ!蓮に限って、頭にお花が咲いてるとか…そんな女子高生みたいな表現、我ながらどうかとも思うが、実際そうなのだから仕方ない。

そして、奇行も目立つ。いや、こちらもあの蓮に奇行などと表現するのは我ながらどうかとも思うが、そうなのだから仕方ない。一般的な人間には備わっているはずの食欲を、どこかに置き忘れてきた蓮にあるまじき言動が見受けられるのだ。

先日、蓮宛に届けられた有名パティシエのケーキ。なん十個とは言わないまでも、かなりの数で。まあ、さすがに普通の人間でもさすがに一人で全部消費するのは不可能な量。複数人で分け合うのが通常だが、食欲を持たない蓮なら、絶対にただの一つも要らないと言うと思っていた。

蓮は、その類いまれなる容姿や活躍ぶりから、多岐にわたるメーカー等から、特殊であったり高価であったりする贈り物をされるが、こと食料に関しては完全に豚に真珠、猫に小判という有り様だった。

だからいつも通り、特に女子社員からのお持ち帰り希望を募ろうとしていた。ところが蓮が、「これ、いくつかいただいてもいいですか?」とそれはそれは嬉しそうにケーキの品定めを始めた。えええぇっ!?っと驚く社員をよそに、箱の中をホクホク顔でのぞいている。

実は気になるのは、その時の蓮と彼のマネージャーの社との会話だ。その場で社は、「お、おい。蓮!」と慌てていた。モデル業もしている蓮の体型維持のために苦言を呈しているのかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。部屋の隅っこに蓮を引っ張っていって、ひそひそ声で話しだした。
「ケーキって…周りの目が…」
「お土産…すよ?だって、喜んで…じゃないですか。」
「お前なあ、そんなわかりやすく…。…は、大っぴらにしたら……だろ。」
「え…でも、…を食べたいって…ですよ?」
「そりゃあそうだろうけども…。」
モゾモゾと小競り合いをしていたが、その後結局、社が折れた形となった。


またある日は、事務所に京野菜が届いた。それらはとても良質で、通常ならば料亭等で消費され、市場には出回らない一級品だ。しかし、お取り寄せの調理済み真空パックなどならいざ知らず、野菜だなんて。そのまま食べられない、わざわざ加工が必要なもの。いくら役では見事な腕前で調理していた(蓮は撮影中の映画の中で、一風変わった、食材をこよなく愛する料理人を演じている)といえ、蓮にとっては無意味すぎる……。そういや、あの敦賀蓮のくせにすごい手さばきがいいって、撮影現場の使いに出したうちの社員が不思議がってたな…。ま、というわけで、事務所側がこれまた通常通り回収しようとした。ところが、蓮が再び「それ、いただけませんか?」と嬉々として爽やかに切り出した。

「おぉ〰いっ!蓮く〰ん。またそんなっ。」
「だって!社さん、京野菜ですよ?京野菜!絶対喜んで、ふぐっ(なんと!社が蓮の口を手で塞いだ!)」
「わかった、もうわかったから!皆まで言うな。」
降参とばかりに、社は蓮の好きなようにさせていた。

そこからは、もう、蓮は、日々堂々と「お土産」をゲットしていった。ただ問題は、お土産にセレクトする内容だった。明らかに「きちんと料理をする」、かつ「妙齢の女性」が喜ぶ物ばかりだったことだ。

蓮の稼ぎは、まあ言っちゃなんだが破格で、庶民には想像もつかない金の使い方をする。その蓮が、「お土産」を「自分の稼ぎ」で購入しないで、わざわざ「貰い物」に飛び付くことが理解に苦しんだ。あんな貰い物をちまちまと持ち帰らなくても、お土産を持って帰りたいなら、明らかに余剰のある稼ぎで、自分で買えばいいじゃないか。

疑問というか、懸念は他にもある。お土産を持ち帰る頻度だ。蓮は多忙だ。芸能人としてはありがたいが、プライベートの充実には明らかに弊害の出るレベルだ。それこそ、仕事が終われば直帰レベルの時間帯になることも多い。あんなに日持ちのしない物をあんなに何度も持ち帰って、いったいいつ渡しているんだ?もしかして、お土産を渡す相手は複数いるのか?いや、浮いた噂の一つも無い蓮が、いきなり複数の人間に…だなんて…。…そう。もう、家にいる誰かに渡しているとしか思えない。

あと不思議なことは、お土産に選ぶ品は消耗品や食料品ばかりということで…。

先日、ハンドメイドのアクセサリーが事務所に届いた。新進気鋭のデザイナーの、世界に一点ものの作品で、俺から見ても「可愛いらしいな」と思えるものだった。たしかに蓮には無関係な、事務所への贈り物ではあったが、たまたま通りかかった蓮は興味は無さそうで。社がチラリと見て、蓮に「可愛いいな、どうだ?」といったような視線をコッソリと向けたが、蓮は「こういうのは自分で贈ります」と小さいながらハッキリとした口調で答えた。



つまり、こういうことか?お土産を持っていって喜ばせたいけれど、理由がなかったり、高価だったりすると受け取ってもらえない関係…?装飾品なら自分で贈りたい……?そんな女性が蓮の家にいる……!?



そこですぐに思い浮かんだのは、つい先日まで放送されていた、蓮も出演していたドラマで。それは蓮の役ではなかったのだが、誰もが羨む地位を持つ若い男性が、野良猫みたいな女の子に一目惚れしてのめり込み、自宅に囲い混んで最終的には身の破滅を招くというものだった……。


れ、れ、れ、蓮〰〰っっ!?