「今日はありがとう、すごく楽しかった!」


「こちらこそ!またすぐ会おうね?」


「おう!」


ボーリング場を出たあと、近くのファミレスでご飯を食べて
今は駅前まで戻ってきたところだ。

女子と遊ぶ機会がほぼ無かった俺にとっては、すごく楽しくていい思い出になった。

家の方向は逆だし、時間的にもここで解散かな


「じゃあ」


「まなきくん...!」


「わっ...ねる?」


"またね"そう言って手を振ろうとしたところで
不意にねるが、俺に抱きついた。


突然の事すぎて、頭の中が白くなる。


どうしたらいいのかよく分からないけど...
 
俺は不慣れな手つきでねるの背中に腕を回してギュッと抱きしめかえした。




「ごめんね、急に...」


「ううん」


少し経って、ねるが腕の力を緩めて離れた。
その時 目が合って、ちょっと気まづくなる。



「じゃあまたね...!」


恥ずかしくて前髪を触る俺にねるは照れくさそうに はにかんた後、背を向け歩き出す。

そんなねるの背中を見ている、自分の心臓の音がうるさかった


これが恋ってやつなのだろうか。



ずっとサッカーを一筋でやってきた俺は恋なんてものを知らなくて

サッカーをやめたあとも
女子には避けられるか同情されるかのどっちかだったから
誰かを好きになる事なんて無かった。


だから俺はそういう系に疎くて...


でも恋愛で悩んだなら、多分織田に相談するのが1番だろう


家に帰ったら電話するか...


そう思いながら俺は家に帰った。










プルルルル ──



「まなきどうした?」



「遅い時間にごめんな、今日ねると遊んだんだけど、その帰りに突然抱きつかれてさ」


「は?」


「それでさ、心臓がすげえドキドキしたんだけど織田的にこれって恋だと」



ブチッ


「うわ...アイツ切りやがった」



まだ話してた途中にも関わらず、切られた電話


「やっぱ自分で考えるかー...」


他に相談できる相手もいないし、俺はベットに寝そべって気持ちを整理することにした。