夕方になり、約束した駅前で俺は長濱さんを待っていた。


「まなきくーん!」


少し経つと、手を振りながら駆け足で俺の元に長濱さんが来た。


「誘ってくれてありがと」


「うん!」


改めて見ると、長濱さんってほんとに可愛いんだな

こんな子が俺の隣を歩いてくれるなんて、片足が動かなくなってからは思いもしなかった。


「長濱さんどこ行く?」


「ねるって呼んでよ?」


「おう」



そんな話をしながら俺達が向かったのはボーリング場だ。

俺は得意じゃないけど、何だか楽しそうだから...













ゴロゴロ ── ガシャン...!



"ストライク"



「おぉ、ねるめっちゃ上手いじゃん!」


「いぇーい!」


一本目からストライクを出したねるは嬉しそうにピースして、俺とハイタッチをする。


「次はまなきくんだよ!」


「よし、俺も続くぞ」


かっこ悪い所は見せられないから、気合を入れてボールを手に取る。


しかし狙いを定めて投げたはずのボールは、左へ曲がりガターへ 一直線。


「うわっ、俺ひどすぎ!」


「まなきくん下手くそ〜!」


ねるはお腹を抑えて笑い続ける。

あまりに酷くて俺も笑いが止まらなかった。


「まず投げ方おかしいもん まなきくん!」


「これが俺のスタイルなんだよ!」



ガターへ 一直線だった時は、ボーリング場を選んだ事を後悔したけど
下手くそでも今は楽しくて仕方なかった。


ねるも笑顔を見せて楽しそうだし...


「ほら、まなきくんの番だよ!」



「次こそは...!」


幸せをかみしめている時
ねるに呼ばれ、俺はまたボールを手に持った。