私の沈んだ気持ちに気づいて、声をかけてくれたのは理佐だった。
理佐「大丈夫?」
理佐はそう言いながら私の隣のパイプ椅子に腰を下ろした。
小林「ちょっとね...」
理佐「ちょっと。なんて顔じゃないけど?」
頬ずえをつきながら理佐は私の顔を覗く。
なんだか気まづくて視線を逸らしたけど、横から理佐の視線を強く感じる。
理佐は優しい。
メンバーの悩みにいち早く気づくし、話を聞いて的確な答えをくれる。
そして、そんな理佐をメンバーの皆は尊敬しているし大好きだ。
けど私は迷惑や負担をかけたくないからと、理佐に相談することはほとんどない。
理佐「話、聞くよ?」
小林「大丈夫」
理佐「そっか...じゃあ話したくなったらいつでもおいで。」
そんな私の性格を知っているからか、理佐は無理に聞こうとはしない。
優しい言葉を置いて、背中をポンポンと叩いて私から離れていった。
コンコンッ
スタッフ「欅坂の皆さんスタジオにお願いします!」
理佐が離れてすぐ、乃木坂さんの楽屋に居た時と同じスタッフさんが欅坂の楽屋にも来た。
今泉「ゆいぽん行こ?」
小林「うん」
メンバーの今泉佑唯に手を差し出され、それを握った私は欅坂の楽屋を出た。
こんなモヤモヤした気持ちのまま収録なんて嫌だな。
そう思いながら
"だったら理佐に話せよ。"
なんて、心の中で自分にツッコんだ。
〜数時間後〜
無事に収録が終わり、私は欅坂の楽屋に戻ってきた。
収録中、西野さんと白石さんは隣の席だったのだが二人が会話をしている所を見ることは無かった。
どうしたらいいんだろう...。
そう考えていると
ドタドタドタ.....バンッ!
小林「?!」
楽屋の外から大きな足音が聞こえて
その後、勢いよく楽屋のドアが開いた。
西野「はぁはぁはぁ、由依ちゃん!」
小林「西野さん?!」
ドタドタドタ...
足音の正体が西野さんだった事に驚いていると、また大きな足音が聞こえた。
続