私の名前は小林由依。

今日は久しぶりにお休みを頂いたのだが、特に出かける予定は無い。


というか、わざと何もいれなかった。



だってやっぱり、休日は部屋でダラダラ過ごしたいじゃん?



そんな考えの私は、朝から録画していた番組を見たりスマホゲームをしたりしていた。



しかし、゛とても素敵な休日!!゛


そう思えていたのは正午までで

午後になった途端 テレビは見終わり、ゲームには飽き、ついにやることが無く
時間が全く過ぎなくなってしまった。


外に出てお買い物をすれば、きっと時間なんてすぐに過ぎるんだろうけど、

せっかくのお休みだし、この温かい布団からでてまで出かけるのは、普通に嫌だった。


だから私は掛け布団を頭まで被って、強引に眠ろうと目を閉じた。

けれどその瞬間。



コンコンッ


?「由依ー?開けていいー??」


ノック音と誰かのそんな声が聞こえた。


声からして、訪ねてきた人の正体は
きっとメンバーの、志田愛佳だと思う。


そう予想し、布団から顔だけ出して返事をした。


小林「いいよー。」


志田「はーい!お邪魔しまーす!」


私の返事を聞いてすぐ中に入ってきたのは、予想通り愛佳で

当たったー!

なんて心の中で思っていると、愛佳が私の枕元に立ってこう言った。


志田「何でちょっとニヤけてるの?てか、休みだからってだらけ過ぎでしょ!」


小林「ニヤけてない...!それと休みなんだから、だらけたって良いじゃん!」


私は愛佳にそう言って、もう一度布団を頭まで被った。



志田「はぁ...、全く怠け者め!アイドルがそんなんでいいのかーー!!え〜い!!!」



バッ



愛佳が何か言っているな...なんて思っていたら、

突然、掛け布団を愛佳に思い切り引っ剥がされ、ドアからの冷たい隙間風が私に当たった。


小林「...寒っ!」


あまりの寒さに私は飛び起き、その場に正座して、愛佳に鋭い視線を向けると



志田「えへへ!」


愛佳はいたずらっぽくそう笑っていた。

本当は怒りたいけど、今は寒くて怒る気にもならず
とりあえず掛け布団を返してもらおうと、私は愛佳にこう伝えた。


小林「えへへじゃいよ、ほんと寒い...。さっ、早く愛佳の後ろにある掛け布団返して!」


なのに愛佳は


志田「やだ!そんなに寒いなら動けばいいじゃん!そうすれば温まるよ!」


なんて、求めていないことを言ってきた。



だから愛佳には、何も言葉を返さず


早く掛け布団返してくれないかなー?


そう思っていると。


志田「ほら!早く支度して!!」


愛佳はそう言って、私の手を引っ張り立ち上がらせた。



小林「えっ、本当に動くの!?」


ただの冗談だと思っていた私は、愛佳の言葉に驚いた。


志田「だって寒いんでしょ?だったら外に行って動いて温まろう!!」


たしかに寒いけど、それは愛佳のせいなんだよなー...。

言葉には出さないけど、心でそう思いながら


私はどうにか、外に出る気満々の愛佳を説得しようとこう言った。



小林「けど外は、この部屋よりも寒いよ?ただ歩くだけで温かくなんて絶対ならないと思う。」


すると愛佳は、頭にハテナマークを浮かべながらこう答えた。


志田「ん?そんなことないと思うよ?
だって手は繋ぐし、隣でくっついて歩くんだから温かくなるでしょ?」



小林「へっ?」


志田「えっ?」


愛佳のまさかの発言に、私は驚き 変な声が出てしまった。


でも愛佳の反応を見る限り、何も考えず素で言ったみたいだ。


あんな言葉がスッと出るなんて流石愛佳だなー。


そう感心しながら、愛佳と手が繋げるならと私はすぐに折れ、出かける準備を始めた。