手で私に目隠しをしてきたのは衛藤さんだった。
小林「衛藤さん...?」
名前を呼ぶと、さっきまで笑顔だった衛藤さんの表情が呆れたような表情になり
ため息をついたあと、言い争う二人に視線を向けこう呟いた。
衛藤「いやぁ、参ったね。」
小林「西野さんと白石さんの事ですか?」
衛藤「そうそう、あの二人まだ言い争ってるよ..。あの感じじゃ、しばらくは終わらないね。」
確かに、衛藤さんの言う通り
白石さんと西野さんの言い争いは、収録が始まるまで続きそうなくらいヒートアップしていた。
それに、何故か二人の言い争いを
乃木坂さんメンバーの大半が微笑ましそうに眺めていて、
誰も止める気は無さそうだった。
早く欅坂の楽屋に戻りたかった私は
今のうちに出ようとも思ったのだが、それは申し訳なくて出来なかった。
そこで私は、思いついた一つの考えを衛藤さんに提案した。
小林「じゃあ、衛藤さんが二人を止めてきてください...!お願いします...!」
衛藤「えっ?!私?無理無理!」
しかし私の提案は、衛藤さんにすぐ却下されてしまった。
小林「何でですか?」
理由を聞くと、衛藤さんは悪戯な笑顔を見せながら私に抱きつきこう言った。
衛藤「だって怖いもーん!」
小林「衛藤さん...。」
衛藤さんの答えに、丁度何も言い返せなくなっていた時
ガチャッと聞こえたドアの音のあとに
?「ちょっと!みさみさ!?」
甲高いそんな声が耳に突き刺さり、誰だろうとドアの方に視線を向けると
ムスッとした顔でゆっくりと誰かが歩いてきた。
マスクをしていてすぐに誰なのかは分からなかったのだが、私に抱きついていた衛藤さんがパッと離れて小さな声でこう言った。
衛藤「みなみ...?」
みなみって、星野みなみさんの事かな?
マスクをしている人の正体が分かったところで、星野さんが衛藤さんの前に着き、鋭い視線を向けてこう言った。
星野「何で小林由依ちゃんに、そんな嬉しそうな顔して抱きついてたの?ちゃんと説明して!」
衛藤「えっと、これは...そのー。」
星野さんの勢いに圧倒されてしまった衛藤さんは、黙り込み俯いてしまった。
すると星野さんが、溜息をついたあとこう言った。
星野「...いい訳はないみたいだね。ちょっと来て...!」
衛藤「え、ちょっと、みなみ痛い...!ごめんって...許してよー...」
腕を掴まれた衛藤さんは、必死に星野さんに謝っていたが
星野さんはそれを聞き流し、衛藤さんを楽屋の外へと引っ張って行った。
乃木坂さんの楽屋はいつもこんな感じなのだろうか...。
なんて思いながら、私はまだ口論し続ける西野さんと白石さんに視線を向けた。
続