?:友香って本当に危機感ないよね。


どこからだろう。

雨に打たれながら 三百六十度 周りを確認した。


けど、冷静に考えると声はあかねんだった気がする。


そう気づいて あかねんの部屋をパッと見ると
窓からあかねんが覗いていた。


菅:あかねん...?



バタンッ...シャー



名前を呼んだら、勢いよく窓とカーテンを閉められてしまった。

しっかり話せると思ったのに、ダメだったのか?


諦めるしかないのだろうか。

でも諦めたくはない...。


そう心の中で戦っていると、玄関ドアの開く音が聞こえた。


ガチャ


だから、パッ と玄関の方に視線を向けると

そこには、びしょ濡れの私を呆れたように見つめるあかねんが立っていた。


菅:...あか


茜:とりあえず入りなよ。



名前を呼びかけたところで、あかねんにそう言われ玄関へと歩いた。


茜:これタオル、それとお風呂行ってきな。


菅:ありがとう...。



お言葉に甘えて、私はお風呂を借りる事にした。


茜:着替えは私の使って。ここ置いとく。


菅:うん...。



お風呂から出た私は あかねんの服に着替えて
あかねんが居る部屋に移動した。


菅:お風呂と洋服 ありがとう...。


茜:気にしないで。


あかねんは椅子に座り 勉強机の方を向いていた。

私はその後ろにあるテーブルの横に 正座で座って
いつ話を切り出そうかと、迷っていた。


けどあかねんの背中から出る、オーラというのだろうか。

「何も聞かないで」

そんな心の声が聞こえてきた。


だから私は、それからも話を切り出すことが出来なかった。


そして、あかねんが自ら話してくれる時を待とうって思ったんだ。




時刻は 二十一時を回った。


しかし雨は弱まることなく、それどころか強くなる一方だった。


あかねんはと言うと 私が部屋に入ってから今まで、ずっと机の方を向いたまま。


すると、そのまま背を向け あかねんは私にこう言った。



茜:今日は泊まっていきなよ。


菅:あっ うん...。ごめん、ありがとう。


茜:それじゃあ、布団持ってくる。



そう言ったあかねんは ようやくその場を動き、部屋を出ていった。