降る雨は 傘に当たり、ポツポツと音を立てている。

あかねんの家に来て、はや数時間。


ふと あかねんの部屋を見つめると、部屋の中の明かりがついた。


あかねんの部屋は、玄関のすぐ上。

ここからなら、少し声を大きくすれば聞こえるはずだ。


菅:あかねん...!あかねん!!


だから私は、がむしゃらに名前を呼んだ。
雨が強くなってきたから、
今度こそ雨に負けないようにと 大きな声で叫んだ。


もう傘なんて放っていた。

雨で濡れた 髪 身体 制服 鞄 、そんなのどうでもよかった。

私にとって大切なのは、あかねんだから...。




だから、お願い...


菅:私の前からッ...居なく、ならないで...。


自然と流れた涙は、雨に紛れた。



すると、誰かが私に話しかけてきた。


?:大丈夫ですか...?雨に濡れてますよ?


その人は男性で、きっと私より歳上。
髪は金髪で、耳にはピアス。
それに、ブレスレットも ネックレスも付いていた。

一見チャラそうだな?なんて思ったけど、
自分の傘を私にさしてくれて、男性は雨に濡れている。

それにタオルもスッと渡してくれて、紳士な方なんだなってすぐに分かった。


?:傘を放って何してるんですか?風邪ひいちゃいますよ?
あー、そうだ 良かったら僕の家に来ませんか?


菅:あっ、お心遣いありがとうございます...でも人を待ってるので...。


そう言って断ると、突然その男性の顔つきが変わった。

そして、その男性は傘を投げて力強く私の肩を掴んだ。


菅:離してください...!


恐怖に耐えながらそう言っても、男性は肩から手を離してくれなかった。


どうすればいいのか分からず、あかねんが来てくれることを願った。


?:警察呼ぶよ?


すると、どこからかそんな声が聞こえた。


菅:あかねん...?


雨と涙で視界はぼやけ、どこから誰がそう言ったのか分からなかったけど

助かった。そう一言だけ思った。


男は警察という言葉を聞いて、私の肩から手を離し

「何もしてねーよ」

荒っぽく、そう吐き捨ててからその場を立ち去った。


そして私は立ち上がり、辺りを見回して助けてくれた人を探した。


でも、周りには誰もいない。

それなのに どこからか声が聞こえた。