あかねんが教室を出て行ってから少し経って、
ようやく私は、さっきの出来事を整理し始めた。


「あんたの噂を流したのはこいつなんだよ」


クラスメイトの言葉が、私の頭をグルグルと回った。


つまり、平手さんとの出来事を彼女達に流したのは、あかねんだったって事だよね...。


けど、なんであかねんが...?


それに、流したのがあかねんなら何故私を助けようとしたの...?


菅:ああ、もうどうでもいい...!



先生:す、菅井さん...?どうしたの?



私は考えることを辞めて、教室から勢いよく出た。



そんな私が向かったのは、校庭。

案の定、私がいる所の少し先にあかねんの後ろ姿が見えた。


ザーーーー


すると 曇り空からいつの間にか大量の雨が降ってきて、私達二人をたくさん濡らした。


菅:あかねん...。


その声は大きな雨の音に遮られ、あかねんには届かなかった。

だからもう一度、今度は雨の音に負けないように大きく大きく叫んだ。


菅:守屋茜!!


守:...!?


当然名前を呼ばれた事に驚いたのか、

それともフルネーム呼びだった事に驚いたのか

詳しくは分からなかったけど、
あかねんはパッと私の方を振り返って、ジーッと私を見つめた。


私はそんなあかねんにゆっくり近づいて行き、声を大きくしなくても聞こえるほどの距離になった。


菅:あかねん、ちゃんと話して...?


理由があるから、私と平手さんの事を彼女達に話した。

ちゃんと、理由があるから...。

そうでしょ...?


私は自分にそう言い聞かせて、あかねんが話してくれるのを待った。


だけどあかねんは、また私に背中を見せて、

雨のザーザーと聞こえる音。

そしてピチャピチャとあかねんが歩く音が聞こえて、あかねんは私の前から居なくなった。



あかねんは前に、

「友香を一人にしない」

私にそう言った事があった。


それなのにあかねんは何も語らず、雨の中に消えていった。