授業が終わり、私は隣のクラスの今泉さんに会いに来た。

ドアから教室の中を見回すと、教室の真ん中でクラスメイトに囲まれる今泉さんが居た。



理:今泉さん!


今:あっ!理佐さん!!


今泉さんは私の声に気づくと、すぐに満面の笑みで私の元に駆け寄ってきた。


今:どうしたんですか?


理:いや、さっき助けられたからお礼を言おうと思ってさ...。


今:気にしないでください...!助けたかっただけなので...。


私から視線を逸らして はにかみながら今泉さんはそう言った。


理:あのさ、お礼したいというか...普通に話したいから帰りどっか行かない...?


今:えっ...!?


理:...やっぱりなんでもない!


今:ちょっと、理佐さん...!?



自分から言ったけど

タイミング悪いし、普通に恥ずかしい...。


だから私は逃げるようにその場から立ち去って、屋上に移動した。














 屋上のドアを開けると、フェンスの前に

今、菅井友香さんと同じくらい会いたくなかった渡辺梨加さんが立っていた。


もう気まづいのは充分。

だから私は、気づかれる前に屋上を出ようとしたが
少し遅かったようで、渡辺梨加さんに声をかけられた。



梨:渡邉理佐さん...!


理:...ビクッ


名前を呼ばれたのに 無視するのは、
さすがに心が痛むからと、足を止め渡辺梨加さんの方に体を向けた。


梨:友香ちゃんから、聞いたよ...?


理: なにを...?


梨:...その、渡邉理佐さんと今泉さんが 私と友香ちゃんの関係を探ってるって...。


渡辺梨加さんは、少し俯きながら申し訳なさそうにそう言った。


理:嫌な気分にさせちゃったよね...ごめん。


梨:ううん...その、私と友香ちゃんはね...付き合ってるの...。


理:...。



今泉さんとファミレスに入り、追いかけてまで気になっていたその関係は

最初に思った通り恋人だった。


別に、渡辺梨加さんのことが好きだったわけじゃない。

だから失恋したわけでもない。


それなのに、何故か...胸がとても痛んだ。