...数日後


退屈しなそうだなんて思っていたけど、絶対安静と強く言われているし

動こうと思っても、体が痛くてベットから起き上がれない。


だから 見える位置に置いてもらった時計の針を見つめているだけで、何もすることがなかった。


友香さんはと言うと

朝 起こしに来てくれる時と、ご飯を持ってきてくれる時などだけしか 病室には来てくれないから、未だにほとんど話せていない。

担当は私だけじゃないだろうし、他にもやることが沢山あって忙しいのだろう。


仕方ないけど、やっぱり暇。


お父さんは海外出張中だし、お母さんもお仕事。

学校で話す人は一様いるけど、来てくれるほどの仲では無い。


だから簡単に言えば お見舞いに来る人は居ないってこと。


理:はぁ...お昼から何で悲しい事考えているんだろう。


溜息をつきながらそう呟いて、友香さんが来るまで一眠りする事にした。






...30分後



友:理佐ちゃんご飯だよ〜?


理:んー...。


友香さんの声で私は目を覚ました。


友:理佐ちゃん寝てばっかりだね?


理:だって、絶対安静なんですよね?


友:それはそうだけど...。



ムッとした表情の友香さんはとても可愛い。

だから私は、たまに友香さんが困りそうなことを言ったりするんだ。

ご飯を運んできた友香さんは


友:それじゃあよく噛んで食べてね?


なんてちょっと心配そうな表情でそう言ったあと、病室を出ていってしまった。


理:小さな子供じゃないんだけど...。


ドアの方に向けてそういった後、
ゆっくりと 友香さんの言った通りよく噛んで食べ、私は完食した。


そして完食してから少し経つと、食器を取りに友香さんが戻ってきた。


友:理佐ちゃん完食したんだね!
あっ、もしかして私が出ていったら寝るつもり〜?


理:だってする事が無いんだもん。


寝ようとしていた事を友香さんにすぐ見抜かれてしまった。

でも仕方ないよね、だって暇だし。


なんて思っていたら、何故かニヤニヤしている友香さんが


友:そんな理佐ちゃんに...ジャーン!


まるで同い歳のキャピキャピした高校生のように、私に両手で何かを差し出してきた。


理:本...?


友:うん!読んで損は無いと思うよ?


理:ありがとうございます...。


お礼を言って本を受け取ると、友香さんは少し慌ただしそうに病室を出ていった。


友香さんから受け取った本を開いてみると、小さな字がズラーッと並んでいて

読むのやめようかな。

とも考えたけど、やる事がないよりはマシかな。

なんて思って本を読み始めた。