私は部屋に入り、もう一度ソファに座った。

今泉さんは洗い物を再開し、部屋には水の音だけが響いた。


しばらくすると、洗い物を終えた今泉さんがタンスの中を漁り始め

用が済んだのか私の元に移動してきた。


今:制服シワになっちゃいますよね...私の服でよかったらこれどうぞ...!


そして手に持っていた服を、私に両手で差し出した。


理:ありがとう。じゃあ借りるね。


お礼を言って今泉さんから服を受け取った私は、お風呂場で着替えてから 今泉さんの元に戻った。


そして今泉さんは
私と目が合うと、すぐにこう言った。


今:理佐さんが私の服を着てるのって、不思議な感じです!


理:私も自分のじゃないから不思議な感覚だよ...


今:あと問題なのは 寝る場所ですね...。


今泉さんはそう言って
眉を寄せながら、一つしかないベットを見つめていた。


理:私ソファで寝るから気にしないで。


面倒だからと、私はそう答えてソファに座った。


すると 続いて今泉さんも
何故か、ソファに腰を下ろした。


理:何で今泉さんもソファに座ってるの?


今:理佐さんがここで寝るなら、私もここで寝ます!


理:はぁ...。


今泉さんの行動に、私はもう呆れるしかなかった。


しかし、こうなったら
きっと何を言っても無駄だと考えた私は それ以上何も言わず寝ることにした。








ジリリ ジリリリ リリリ


翌朝

今泉さんがかけたであろう目覚ましで、私は目を覚ました。

そしてすぐに私は膝に違和感を感じ、視線を向けると


そこには スヤスヤと気持ちよさそうに眠る今泉さんが居た。



今泉さんの顔をこんなに近くで見る事は初めて。

肌はつるつるで、触ったら きっと赤ちゃんに触れたように感じそうだ。


理:はぁ...さっきから何思ってんだ 自分。


ボソッとそう呟いた後、私は顔を上げた。




それから約三十分後、ようやく今泉さんが目を覚ました。


今:体が痛い...。


理:自業自得。


顔をしかめている今泉さんに
冷たくそういった私は ソファから立ち上がり制服に着替えた。


今:帰るんですか...?


鞄を握った私に
パジャマ姿の今泉さんが、また悲しそうに そう私に話しかけた。


理:うん。お邪魔しました。


流石に朝だし、まだ寝ぼけていたのか

昨夜のように 腕を掴まれたりはなく、私はそのまま今泉さんの家を出ることが出来た。