結局今泉さんが目を覚ましたのは、二十一時を過ぎた時だった。


今:よく寝た〜!


そう言って大きく体を伸ばした今泉さんは、
菅井友香さんと渡辺梨加さんが座っていた席の方を見た。


今:あれ?二人は...?


理:もうとっくに帰ったよ。


今:えっ...!?


理:はぁ...。



本当に意味がわからない。

そう思いながらも伝票を持って、もう片方の手では今泉さんの腕を掴みレジへ向かった。


そしてお会計を済ませ、ファミレスを出た。



今:奢ってもらっちゃってすみません...。


理:いいよ。レジ分けるの面倒だったし。



外は もう夜。
空を見上げると星も見えた。


横を向くと、今泉さんが何か言いたそうだった。


理:何?


だから話しかけてみると、


今:一人で帰れないので 送ってくれませんか...?


理:は?


今泉さんに振り回されるのはもう嫌。

だけど、街灯に照らされる今泉さんの瞳が とても潤んでいて
手は少し震えているように感じたから、仕方なく送ることにした。


理:仕方ないな...分かったよ。


今:本当ですか?良かった!


そう言い、飛び跳ねて喜ぶ今泉さん。


本当に夜が怖いのか、それともただ一緒にいたかったのか。

真実は今泉さんにしか分からない。



こうして、今泉さんの家まで送ることになった。


すると 少し歩き始めたところで、今泉さんが立ち止まった。


理:今度は何?


今:その...手繋いでくれませんか?


今度は緊張からか震える手を、私に差し出してきた。


面倒を通り越した私は、差し出された手をすぐ握って歩き始めた。



今:結局、二人の関係分かりませんでしたね...


理:だね。


今泉さんのせいとは言えず、素っ気なく返事を返した。




それから少し歩くと、


今:着きました!


今泉さんがアパートを指さした。


理:じゃあここで大丈夫だね。それじゃ。


そう言って、自分の家へ向かおうとすると
今泉さんに引き止められた。


今:あの!


理:?


今:良ければ泊まっていきませんか?


理:いや、流石に...って...拒否権なし?!


断ろうとした時、今泉さんに腕を引っ張られて
アパートに連れていかれた。