教室に戻る頃には授業が終わっていて、席に座った私はとりあえず反省文の紙を机の中へ閉まった。
今:理佐さん!
すると今泉さんが、私の名前を呼びながら教室の中へ入ってきた。
そして私の席まで小走りで駆け寄ってきたから、私は逃げるように席を立ち上がって教室を出た。
今:ちょっと待って...!
そんな私の後ろを今泉さんはどこまでも付いてきて、面倒になった私は階段の前で止まった。
理:何?
今:あの...怒ってますか?
理:怒ってない。
本当はムカついていたが、もしムカついていると言ったら、もっと面倒な事になりそうだったからと 怒ってない。そう嘘をついた。
今:良かった...!本当にすみません!
そう言って、今泉さんは深々と頭を下げた。
いくら人気のない階段だからと言って、誰も通らない保証はない。
それなのにこんな所を見られたら、何だか誤解されそうだ。
理:もういいって。
だから、今泉さんの頭を上げて肩をポンポンと叩いた後教室へとまた戻った。
教室に戻ると、さっきは見かけなかった渡辺梨加さんが居た。
けど渡辺梨加さんは私に気づくとすぐに教室を出ていった。
気遣ってくれたのか。
ただ単に用があったのか。
そこは分からないが、嬉しいような嬉しくないような複雑な気持ちになった。
ー放課後ー
結局、渡辺梨加さんは最後まで戻ってこなかった。
荷物をまとめて帰ろうと廊下に出ると、満面の笑みを見せる今泉さんがそこに立っていた。
今:理佐さん!一緒に帰りませんか...??
とことんめんどくさいな...。
そう思いながらも、断ってまた何か囮に使われたらたまったもんじゃない。
だから仕方なく、一緒に帰る事にした。
理:分かったから、変なことしないでね。
今:もちろん!
理:はぁ...大丈夫かな。
元気にそう言った今泉さんに不安を覚えるまま、学校を出て通路を歩いていると、
楽しそうに ルンルン と私の周りをクルクル歩きながら回るものだから
うっとおしくて、立ち止まった。
今:どうしたんですか?!
理:変なことしないでねって言ったじゃん。
今:してないです!
理:してる。
今:してないです!!
理:はぁ...。
もうダメだ、面倒。そう呆れた私は、クルクル歩く今泉さんを気にしないように歩くことにした。
そして家と学校の間にある商店街の中を歩いていると、今泉さんは何かを発見したのか
突然私の腕を引っ張って、早歩きでどこかへ向かい始めた。
理:ちょっと、なにしてんの...!
私の声は聞いてもらえず、グングン進む今泉さんがようやく止まった所は、商店街を抜けた所にすぐあるファミレスだった。
理:なんでファミレス?
今:行きましょう!
理:は?
私は眉にグッと力を入れた。
でもそんな私に気づかない今泉さんは、私の手を強引に引っ張って、ファミレスの中へ入った。
続