私の名前は志田愛佳。
そして今は、恋人の茜が初めて夜ご飯を作ってくれるとの事で、一緒に買い物に来ていた。
守:愛佳は何食べたい?
志:暑いし素麺とかは?
守:素麺って茹でるだけじゃん!そうじゃなくて、もっと手料理って感じで食べたいものは?
志:えっ...そうだなー...。
夏だし素麺が良かったのに、茜に断られてしまった。
そして他に食べたい物を聞かれたけど、こういう時に限って何も思いつかない。
だから顎に手を当て悩んでいると、
守:もう...せっかく手料理を振舞おうとしてたのに。愛佳のバカ...。
志:えっ、茜?
突然涙目になった茜は、買い物カゴを私に押し付けてから早歩きでどこかへ行ってしまった。
志:なんで怒るんだし...。パッて出てこなかっただけじゃん。
茜を追いかけようともしたが、不満やカゴの中には既にジュースやお菓子が入っていたから
すぐに追いかけることも出来ず、茜を見失ってしまった。
しかしきっと家にいるはずだからと、私は買い物を済ませた後二人で住んでいるアパートへと帰った。
ガチャッ
志:ただいま。茜ー?
中に入ると、ソファで茜が寝ていた。
目やその周りは赤くなっていたから、きっと泣き疲れて寝たんだと思う。
リビングテーブルの上には、料理本とエプロン。
相当気合入れていたんだな...。なんて考えれば、嬉しさと愛おしさと申し訳ない気持ちになった。
スヤスヤと眠る茜の元に向かった私は、茜の頭を優しく撫でた。
すると茜はすぐ起きて、私にこう言った。
守:おかえり...。
志:ただいま。!?
私の声を聞くと、茜はすぐ私に抱きついてきた。
守:置いてってごめんね...。
志:ううん、うちこそ追いかけなくてごめん...。
ハンバーグが食べたいからもう一回、一緒に買い物行こう?
そう言うと、茜は笑顔で頷いてくれた。
そしてもう一度スーパーに向かった私達は、ハンバーグの材料を購入して家へと戻った。
台所に立った茜は早速エプロンをつけて、ハンバーグを作り始めた。
私はその様子を椅子に座って眺め、完成を待った。
守:愛佳お待たせ!出来たよー!
志:やった!もうお腹ペコペコ!
守:召し上がれ!
志:うわぁ!美味しそう!いただきまーす!
茜が作ったハンバーグは、とても美味しかった。
志:ごちそうさま〜茜すごいね!美味しかったよ!ありがとう!
そう言うと茜はニコニコと嬉しそうに笑って、
守:大好きな愛佳を想って作ったの!だから自信あったんだ〜!!
なんて照れるようなことを言うから、すぐにソファへ移動すると
守:ちょっと!恥ずかしから何か反応してよ!
茜が照れながらそう言うから、
可愛くて仕方なくて 手を引っ張り 膝の上に座らせた後、ギュッと抱きしめると、
背中からバクバクと早い心臓の鼓動がきこえた。
そして、その音に私はまた 愛おしさを感じるんだ。
終