もしあの二人が付き合っているとするなら、渡辺梨加さんが生徒会室に行くのはそれが理由だろう。


いい雰囲気か...。


理:はぁ...。


先程とは違い、自然とでたため息。
すると今泉さんが勢いよくこう言った。


今:理佐さんは渡辺梨加さんが好きなんですか!?


理:ッ...。そんな訳ないじゃん!!


今泉さんの問いに少し間があいた後、焦ってそう答えた。

けれど、その否定は私の心でどこか引っかかった。
そんなに強く否定しなきゃ良かったって...。


でも今泉さんは私の答えを聞いて、


今:良かった...!


嬉しそうにそう一言いってから、足を弾ませて私の前から立ち去った。


今泉さんは、きっと私のことが好きなのだろう。
自惚れでもなんでもなく、今泉さんの態度を見ればこんな私でもすぐに気づく。

それくらい今泉さんはわかりやすいんだ。

有難いし嬉しいことだけど、恋愛なんて友情と同じくらい面倒だ...。



そう思っていると、

ガチャ

生徒会室のドアが開いた。


頭の中では、素早くこの場を去ろうと思っている。
けど、小さな好奇心が私の体を動かなくさせた。


だから私は、開き直るようにドアの方をジッと見つめた。


まず生徒会室から出てきたのは、渡辺梨加さん。

渡辺梨加さんは、私に気づいて首をかしげていた。


菅:梨加ちゃんどうしたの?


そんな渡辺梨加さんに、声をかけながら出てきたのは菅井友香さん。


菅井友香さんは私に気づくと、すぐに嫌そうな顔を私へ向けた。



菅:梨加ちゃん行こう...。


梨:う、うん...。


菅井友香さんはそう言って、渡辺梨加さんの手をギュッと握った。


やっぱり付き合っているのかな...。


そう思うと、私の口からは自然と言葉が出た。


理:二人は付き合っているの?


その問に、二人共答えることは無くて
でも立ち去りもしないから、
私はどうしようもなく、その場に立っているだけだった。


静寂に耐えられなくなる。


そんな私を救ったのは、チャイムだった。



キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴ると、さっきまで動かなかった体が動き、そして私はすぐにその場を立ち去った。