教室に戻った私は、席に座って渡辺梨加さんの席を見た。


渡辺梨加さんは今生徒会室で、私を嫌っている女の子と話しているのかな...?


二人は仲が良いのだろうか...。

もしそうだとしたら、勝手に私と同じで不幸なオーラが出ている気がする。

なんて思っちゃダメだったな...。



でもそうでいて欲しかったと思うのは、結局私も仲間が欲しかったからなのだろう。







やることも無く、机に顔を伏せているといつの間にか時刻は八時を過ぎていた。

クラスメイトも続々と登校してきて、ガヤガヤワイワイと楽しそうに話している。



渡辺梨加さんは...まだ居ない。



こんなふうに自然と渡辺梨加さんの事を気にしていると、
鞄をギュッと大切そうに抱えた渡辺梨加さんが教室に入ってきた。


生徒会室に入ってきた子が誰なのか、
渡辺梨加さんと知り合いなのか気になっていたから、席を立ち上がって、渡辺梨加さんの元へ歩いた。



理:渡辺梨加さん...。


名前を呼ぶと、渡辺梨加さんはキョトンと私の方を見た。


理:あのさ、さっき生徒会室に来た女の子の名前教えてくれない?


梨:友香ちゃんの事...?


理:友香?


梨:うん...。


聞いたことのない名前だった。

だから同じ学年じゃないのかな?
なんて思いながらも今度は二人の関係を聞いた。


理:渡辺梨加さんは、友香って人と仲がいいの?


私の質問に渡辺梨加さんは、恥ずかしそうに小さく頷いた。


その後はお互いに何も言わず


キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴ったからと、自席へ戻った。


先輩や生徒会に知り合いはいない。

でも私は友香って人に嫌われている...。



私は昨日ぶつかった時に初めて知ったのに、友香って人は私を知っていた。

渡辺梨加さんが教えたのだろうか...?

でも、それは無いか...。


こんなふうに先生の話は放ったらかしで、私は頬杖をついてたくさんの疑問を解こうとしていた。


何故だろう。



渡辺梨加さんの事について考えている今は、面倒なんてそんな言葉は一つも出てこなくて


むしろドキドキワクワクとしていた。