みいちゃんから、「愛佳が必要」そんな言葉が出た。




ヒュー...。



なんでこんな時に、いつも風は吹くのだろう。


悲しいだけじゃん。


寂しいだけじゃん。


誰もいない私の隣を、ただ風が通るだけじゃん。


風を感じながら、私は目を閉じた。


ツーっと涙が私の頬を濡らす。


「変わらなきゃ」


そう強く思ってから涙を手で拭い、ベンチから立ち上がると



理:ッ...なんで...?


目の前には、皆が立っていた。


茜:理佐!今度一緒に遊びに行こう?


菅:私とは一緒に、勉強しに行こっか?


織:今度テニスの試合があるんだけど、見に来てくれるわよね?


美:うちとは、ううん。
うちだけじゃなくて、皆でまたお昼ご飯食べよ?


小:私はどんな理佐も好きだよ…。


志:いい奴には素敵な友達ばっかだな。
美波は渡さないけどね?


葵:理佐は、今変わろうとしたでしょ?
その気持ちが、私たちにはちゃんと伝わってきてるよ?




一人ずつ、私に優しい言葉をくれた。


私は皆を、傷つけたのに...。


酷いことばっかりしたのに...。


それなのに...どうして?


皆のことを思えば思うほど、私はさっきとは比べ物にならないほどの大量の涙を流した。


すると、皆して私の元に駆け寄ってきて


葵:理佐が泣いてるー!


志:泣き虫だな。


美:愛佳のアホ!


茜:志田さんってホント空気読めないよね。


志:は?


菅:二人共落ち着いて...!


織:志田さんこわーい!


小:私は織田奈那が怖い...。



風が止んだ訳じゃない、だけど風を感じながら横を向くと沢山の仲間がいた。


みんな幸せそう。


そう思っていたけど、本当に一番の幸せ者は自分だったという事に、私は気づいていなかったんだ。



だからその事にようやく気づいた今、



私の心に咲いた黒い花は、散っていった。