屋上を出たうちが、次に向かったのは中庭。


するとまだ廊下に居ったうちは、廊下の窓から中庭のベンチにうずくまっとる理佐を見つけて

そんな理佐の元へ、うちは歩いて行った。


決して慎重に近づいた訳でも無いのに、理佐はうちに全く気づかなくて、


その理佐の状態から、

うちはこんなにも理佐を苦しめとったんやって、凄く悲しくなった。

そして理佐の名前を呼んだ。


美:理佐...?


顔を上げた理佐も、うちの名前を呼んだ。


理:みいちゃん...?


そんな理佐の隣にうちは座って、理佐の背中に手を添えながら


美:うちのせいやね...。


涙を必死に堪えてそう言った。


すると理佐はうちに抱きついて、


理:なんでなの...どうして私じゃなくて志田さんなの...?


少し震えた声でそう言った。


でも理佐が言った内容から、

私が思っていた通り、理佐に告白された時しっかり断れなかったからだって、

「ごめん」のたった三文字で済ませちゃったからだって、そんな想像が確信へ変わった。


だから今、理佐にちゃんと言わなきゃ、


うちが終わらせなきゃ、


理佐を苦しみから解放しなきゃ、


そう思って理佐へ、自分の気持ちを伝えた。


美:うち分からなかったの...理佐と愛佳のどっちが好きなんか。
愛佳の事、嫌いやったよ?

理:じゃあ...。

美:でもいつの間にか目で追って、
ゆっくりと、愛佳の不器用な優しさを知って
そうやってどんどんうちの頭は、愛佳で一杯になったんよ...。
でも、理佐のいい所だってたくさん知っとる。
人思いやし、気を使えるし、たくさんの人に幸せを与えられる。
けどねうちには愛佳が必要って思ったんだ。
理佐に、前みたいに戻ってなんて言わない...だから、ゆっくりと新しい道に進も...?


うちは黙り込む理佐の頭を優しく撫でてから、その場を立ち去った。



そして廊下に足を踏み入れると、


志:屋上で、バカみたいに丸まってた原田連れてきたよ。


少し声を張ってそう言った愛佳と、ムスッとしている葵が少し先に立っていた。


葵:美波の恋人は本当に口が悪いね...。でも凄く良い人って事が分かったよ!


うちが理佐と話している間、保健室と屋上。

バラバラの場所にいたはずの二人が、今一緒に居る。


何があったんかよく分からないけど、二人が来てくれて良かったと思った。


美:来てくれて良かった...なら行こっか?


そう言ってから、また中庭へ出ようとした所で


菅:ほらあかねんも行くよ!いつまで拗ねてるの!


視線の先には菅井さんと、菅井さんに腕を掴まれた守屋さんが立っていた。


すると、


志:お前って情ねーな。


守屋さんに志田さんが一言、そういった。

それに守屋さんは反論して


守:情けなくないし、拗ねてもないから!!


そう言って、怠そうにしていた体をピンと起こし、
守屋さんは逆に、菅井さんの腕を掴み返してうちのところに来た。


すると今度は、


小:ちょっと離れてよ...!

織:やだ!

ゆいぽんと、ゆいぽんの腰に腕を回して引っ付いとるオダナナがうちらの元に歩いてきた。


いつの間にかみんな揃った。


理佐の周りには沢山の仲間がおる。


ちゃんと分かってくれるよね?



なんて思って、うちらは中庭へと足を進めた。