対応を変えたあの日から、一週間が経った。
冷たい私が好きなはずの四人は、そろそろ離れていってしまうだろう。
そう思って今日も教室のドアを開ける。
ガラガラ
...。
ドアを開けると、今まで毎朝居た四人の姿はなかった。
素直に感じた孤独。
素の自分を見せた結果がこれ。
笑いたい時笑って、冷たい対応をしなくなってからは、
初めて友達といる事の楽しさに気づいて、
四人の特徴を更に見つけて、
今まで一人でいたいと願っていた自分を反省して、
毎日楽しくて、幸せだった。
でも本当の自分は、四人が求めていた私とは違った。
今この状況がそれを表している。
でもあのまま、本当の自分を見せなかったから
きっと四人の大切さに気づくこともなかった。
そう思うと、どこか良かったと感じてしまう。
ボーッとそんなことを考えて、教室の入口に立っていると
長:ねえもう教室にいるんじゃないの?
鈴:なんで会えなかったの!?
今:下駄箱の所で待とうって提案した人誰ー!?
理:それ佑唯だよ。
廊下から聞こえてきたのは四人の声。
体を動かし廊下に出てみると、頭を抱えている長濱さんと鈴本さん。
そしてそんな二人の後ろで、驚く今泉さんと冷めた目で今泉さんを見る渡邉さんが歩いていた。
何をしていたのかよく分からないし、返してくれるかも分からないけど
私に気づいていない四人に声をかけた。
平:皆、おはよう...!!
笑えていたか分からない。
でも私は、四人と出会って初めて自分から挨拶をした。
私の声に気づいた四人は笑顔になり、一斉に私の元に走ってきて、
『てちおはよー!』
そう言いながら私を囲んで抱きしめた。
今なら聞ける。
そう思って私を囲む四人に、教室に居なかった理由を尋ねた。
平:なんで今日は教室に居なかったの...?
すると今泉さんが、
今:私は忘れちゃったんだけど、今日の朝は教室じゃなくて、下駄箱で待って驚かせようって提案してたみたい!
だけど、何故か会えなかった!
そう言って、えへへと笑っていた。
すると円になっていた私たちに、先生がこう言った。
「ほら仲良し五人組ー!チャイムなるから教室入れー!」
仲良し五人組。
その言葉を聞いて、私は皆と一緒に笑顔になった。
冷たい対応。良い対応。
そんなのに囚われていた自分はバカだった。
何よりも大切なのは、
この四人と居て楽しいか?
幸せなのか?
そんな事に気づけず、悩んでいた自分は情けない。
けどもう大丈夫。
だって今悩んでいるのは、幸せすぎることだから...!!
終