誰もいない屋上は、心地良いようでどこか寂しい。
屋上へ来る途中に、チャイムが鳴っていたけど
私はお構い無しにここへ来た。
授業中で誰も来ないからと、私は寝転がって空を見上げる。
私の心とは真逆で、晴天の青空。
眩しくて目を閉じると、私は次第に夢の中へ入っていった。
...
目を覚ますと、晴天だった空には少し雲がかかっていた。
そして何故か、スースーと規則正しい寝息が聞こえる。
顔を横へ向けると、そこには何故か葵の姿があった。
理:葵...?!
驚いて、飛び起きるように体を起こすと
葵:ん?フワァ...。
どうしたの?そんな顔をして、葵はゆっくりと起き上がり欠伸をした。
理:なんで葵が...?
そう聞くと、葵はもう一度欠伸をした後に答えてくれた。
葵:なんでって、理佐がいるかなあと思って!!
まだ眠たそうに、でもいつもの明るい声で葵は答えた。
それに対して私は、いつもより低く冷たい声で、また葵に質問をする。
理:何か用あるの?
葵:あるよ...。
理:なに?
葵:分かってるくせに...。
葵にそう言われて私は俯いた。
だって図星だったから...。
そして葵に、私の苦しみや疑問を分かって欲しくて、
顔を上げた私は、葵に本心をぶつけた。
理:でも私の気持ちは変わらないよ、自覚しててもそんなの関係ない...。
私は一目惚れをして、優しくみいちゃんの気持ちを、一番に考えてた。
それなのに、みいちゃんはあんな奴を選んだ...。
おかしいんだよ!ちゃんと気づかせなきゃ!
そうでしょ?
葵の肩を力強く握って本心を伝えると、葵は哀しそうに首を横に振った。
そして私は、立ち上がり屋上を出ようとした。
すると背を向けた私に、
葵:それじゃあ私は、理佐を救えない!
どんなに私が頑張ったって、周りが助けようとしたって、
理佐が自分で変わろうとしなきゃ、意味無いよ!!
葵のキンキンと頭に響く大きな声。
小学生じゃん...。
そう思いながらも私は何も返さず屋上を出た。
ガチャン
ドアを閉め、階段を降りようとすると私の目から涙が流れていることに気づいた。
理:葵のアホ...。
涙を手で拭い、そう呟いてから私は階段を降りた。
続