次の日教室のドアを開けると、いつものようにニコニコと私を待つ四人の姿があった。
『てちおはよー!』
そして毎朝恒例の、私への挨拶が聞こえた。
昨日までは冷たい対応をしていたけど、今日は愛佳のアドバイス通りに笑顔で、私は挨拶を返してみた。
平:おはよ!!
四人は私の返しに、その場で動けないほど驚いたみたいで、
いつものように私の席までついて来なかった。
けど別に、冷たい対応じゃないから着いてこなかった。
決してそういう訳では無い。
ただの驚きからついてこなかっただけだ。
そして、驚きなんてそう続くものじゃない。
だから少し時間が経てば、さっきのように明るい対応をしても、
今のように、ついて来ないという事は無いだろう。
そう思うと、「急にどうしたの?」四人からそう聞かれる恐怖が生まれた。
席に座った私は、教室のドア近くに小さな円を作って集まる四人を見た。
こんなに離れた場所からあの四人を見るのは、初めてだと思う。
近くからではなく、遠くから見る四人は、いつもとは少し違って見えた。
そして私は、周りに誰もいない事の寂しさに初めて気づいた。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴ると、四人はサーっとそれぞれの席へ戻っていった。
それから授業を受け五十分後に授業が終わると、授業前とは違い、
四人はいつものように私の元に歩いてきて、周りを囲むように集まった。
だけど何かを言うわけでもなく、私の様子を伺うようにジーッと視線を向けているだけで、
でも四人のその行動に、私の心臓はバクバクと激しく鼓動した。
すると、まず行動を起こしたのは長濱ねるさんだった。
長:えい...!
平:へっ...?
長濱ねるさんは声を出しながら、手のひらを私のおでこに当てた。
その行動はいつものような強引さは感じられず、少し遠慮気味に、そして顔を歪ませながらの行動だった。
私はその突然の行為に、驚きよりも疑問を強く感じ
拒否することもなく、ジッと終わるのを待った。
長:んー...熱はなさそう。
長濱ねるさんの言葉に他の三人は安心するようにフゥと息を吐いた。
昨日までの私なら、きっとこのまま無言で無視する。
でも愛佳のドヤ顔と一緒に、
「元気よく!」
昨日言われた言葉が浮かんだ。
だから私は四人にこう言った。
平:熱なんかないよ!それと、次は移動だよ!
急がないと、遅刻しちゃうぞー!!
私の言葉を聞いた四人は慌てて教科書を取りに行き、私の元に戻ってくると同時に
平:よし、出発ー!!!
高校に入学して、一番元気な声でそう言ってから、私は自ら長濱ねるさんの腕に自分の腕を絡ませ、
今泉佑唯さんの手も自分から握った。
私の行動に圧倒されている四人は、何も言わずに、アタフタとしながら私と一緒に教室を出た。
続