歩いてきた渡辺梨加さんに、私は声をかける。

理:どうしたの?

梨:私は書き終わったけど、渡邉理佐さんは書き終わった...?

渡辺梨加さんの問いかけに、私は首を降った。

だって、まだ先生から貰った紙は真っ白だもん。


簡単にその事を伝えるため、渡辺梨加さんに紙を持ち上げて見せると、

梨:空白...。

渡辺梨加さんはボソッとそう呟いた。

理:反省文とか面倒だから、やらないでもう帰るわ。


渡辺梨加さんは真面目に書き終えたというのに、私は「面倒」またそんな事を理由に、途中で投げ出した。


廊下から教室の中に立っていた渡辺梨加さんを見てみると、真っ白な紙が置かれた私の机を見つめていた。



渡辺梨加さんの事を考えながら廊下を歩き、階段に向かっていた私は、


ドンッ


曲がり角で誰かとぶつかった。


パッとぶつかった相手を見ると、黒髪で眼鏡をかけていていかにも真面目って感じだった。

理:ごめん、大丈夫?

容姿を見ながら、そう言って手を差し出すと

?:なんなのよ本当に...!って貴女、渡邉理佐じゃない...!
ほんと大っ嫌い!


彼女はそう言いながら私を鋭く睨み、差し出していた私の手を払ってから、立ち上がって歩いていった。


理:真面目そうなのに怖っ...。てか大っ嫌いとか意味わかんないし、面倒臭いな。


ブツブツとそう呟いた私は、不機嫌のまま家へと帰った。