私は高校一年生の平手友梨奈。

そんな私には、今ある悩み事がある...。それは、教室のドアを開けると分かるんだ。


ガラガラ


『てちおはよー!!』


ドアから三十センチほどの距離に、笑顔で手を振って立っているのは、
クラスメイトである、長濱ねるさん、鈴本美愉さん、今泉佑唯さん、渡邉理佐さんの四人。

そんな四人に、

平:おはよ。

冷たく、そして素っ気なく挨拶を返した私は、キラキラと目を輝かせる四人を素通りして席についた。


しかし席につくと、四人は私を囲むように周りに移動してくる。


今:てち今日も可愛いね!

今泉佑唯さんの発言に、周りの三人は大きく頷いた。



そう、私はこの四人に悩んでいるんだ。

嬉しいんだけど、これが入学して一週間後から今日までの約三ヶ月間毎日続いてるんだ...。

元々対応が良い訳ではなかったのに、何故かこの四人は離れようとしない。


一人で居たいのにな...。


平:はぁ...。

つい溜息をこぼしてしまうと、

『どうしたの?!』

四人して同時にそう言って、心配そうな顔で私を見た。

冷たかったり、素っ気ない対応は出来るけど、強い言葉を叫んで引き離す事は出来なくて、

平:なんでもない。

そう言うしかなかった...。

でもこの約三ヶ月間で、この四人の事は大体分かった。

まず長濱ねるさんは、スキンシップが多い。
授業で移動の時も、私と腕をガッシリと組んでの移動が普通だ。


次に鈴本美愉さんは、スキンシップはたまにあるくらい。でもとても大胆な子。
教室の中でも、大好きってよく大きな声で言ってる。


そして今泉佑唯さんも、長濱ねるさんと一緒でスキンシップが多い。
でも長濱ねるさんとは違って、移動の時は腕を組むんじゃなくて必ず手を握ってくる。


最後に渡邉理佐さんは、スキンシップはほとんどなくて、大胆な事も言わない。見た目通りクールって感じ。
でもたまに私の頭を撫でたり、好きって言ってくれたり多分、ツンデレなんだと思う。



皆嫌いじゃないし、いい人達だ。

けど一人で居たい気持ちが強い...。


だから悩んでいるんだ。









ある日この事を、隣のクラスで幼なじみの愛佳に、相談をした事がある。


志:んー...。一人で居たいけど、強くは言えないってことね。


コクンと頷くと、愛佳は何かひらめいたのか突然立ち上がって私を見つめた。


平:なにか思いついたの!?

期待を胸に愛佳にそう聞くと、愛佳はドヤ顔をしながらこう答えた。


志:皆、冷たいてちが好きなんじゃないの?
だから私の前みたいに、普通に笑いたい時笑って、冷たい対応もわざとしない!
そして、挨拶も元気よく!!一回、そうしてみたらどうかな??


平:うん!そうしてみるよ、愛佳ありがとう!!


アドバイスをくれたお礼を言うと、愛佳は微笑んで私の頭を優しく撫でてくれた。






突然、今までと違う対応をしたら、
四人はどんな反応をするのだろう...。


離れて行っちゃうのかな...。



私は一人を望んでいたのに、


いつの間にか、離れて欲しくはない。


そう思うようになっていた...。