気持ちを一方的に伝えて、それで終わり。
そんなのダメって分かってるけど、やっぱり返事を聞くのって怖い...。
告白をする人は、いつもこんな気持ちなんだと思った。
そしてドキドキしながら梨加ちゃんを見つめると、梨加ちゃんの瞳に吸い込まれそうになる。
けど私はそれに耐えながらも、視線を逸らさなかった。
そして梨加ちゃんは無意識なのか、意識的になのか分からないけど
私と一緒で視線を逸らさなかったから、私達は少しの間、見つめあっていた。
莉:緊張する...。
私がふとそう呟くと、梨加ちゃんは
梨:ごめんね...。
微笑まず、悲しそうにそう言った。
「ごめんね」って事は、私は振られたのか...。
さっきまでは、ドキドキしながらもちゃんと梨加ちゃんの目から視線を逸らさなかったけど
振られて、悲しくなった私は目を逸らし地面を見つめた。
すると梨加ちゃんは私の事を呼んだ。
梨:上村さん...?
だから、私は梨加ちゃんにもう一度視線を向けたけど
顔から悲しさが溢れていたのか、梨加ちゃんにこう言われた。
梨:なんで悲しそうなの...?
莉:何でって、振られたから...。
そう答えると梨加ちゃんは突然
梨:フフッ...上村さ...ん...フフッ...。
ツボに入ったのか、何なのか分からないけど、
急に口元を手で覆って、梨加ちゃんは笑っていた。
莉:梨加ちゃんどうしたの...?
困惑したままそう聞くと梨加ちゃんは、笑った理由を話してくれた。
梨:私、上村さんの事振ってないよ?
莉:えっ...!?
思ってもいなかった梨加ちゃんの言葉に驚いて、つい大きな声を出してしまった。
莉:けど、さっきごめんって!
梨:それは、緊張させちゃってごめんねって意味...。
申し訳なさそうに、でもどこか面白がりながら梨加ちゃんはそう言った。
莉:じゃあ告白の返事って...。
梨:まだしてない。
私はホッとしたけど、まだしていないと聞いて
急にまた、心臓はドキドキと動き始めた。
梨加ちゃんの口元に視線を向けて、ゴクリッと固唾を飲んだ。
すると、
梨:私も上村さんの事好き...。
梨加ちゃんは、私を好きと言ってくれた。
驚きだってもちろんあったけど、嬉しさが勝って思わず、
莉:やったー!!
なんて少し大きな声で、そう喜んだ。
キーンコーンカーンコーン
「やったー」と言った後、すぐにチャイムが鳴って、私は慌てながら立ち上がった。
だけど梨加ちゃんはマイペースだから、立ち上がるのもゆっくり。
このままじゃ、もっと遅れちゃう。
そう思った私は、梨加ちゃんに手を差し出した。
するとその手を梨加ちゃんはゆっくりと握って、立ち上がった。
だけど私は、自分で手を差し出したのに
手を握られた時に、嬉しさから固まってしまった。
すると梨加ちゃんは、そんな私に微笑んでこう言った。
梨:行こう...!
マイペースな梨加ちゃんに手を引かれながら、私達は屋上を出た。
そして屋上を出る時、
私はこれから梨加ちゃんと一緒に進み続けるんだ...。
嬉しいな、好きだな。
恋してて良かった。
こんなふうに、大きな幸せを感じた。
終