ー放課後ー

私は佑唯ちゃんに相談するため、二人で教室に残っていた。

今:それで、悩み事って...?

莉:うん、その...好きな人のことなんだけど、、

勇気を出して話を切り出すと、佑唯ちゃんはまるで分かっていたかのように大きく頷いた。

莉:佑唯ちゃんは分かってたの...?

そう聞くと佑唯ちゃんはどこか切なそうにコクンと頷いた。

莉:分かってたんだ...好きな人が誰かも分かってた...?

首を傾げてそう聞いた。

今:渡辺さん...だよね?

莉:うん...。やっぱり分かってたか...!佑唯ちゃんは凄いね!

今:当たり前だよ!それで、渡辺さんに告白するの...?

佑唯ちゃんにそう言われて口をギュッと結んだ。

すると

今:アハハ!莉菜?変な顔だよ?

佑唯ちゃんが私の顔の前ですごく笑っていた。

最初はびっくりしたけど、最後は佑唯ちゃんと一緒に笑いあった。

やっぱり佑唯ちゃんといると安心する、佑唯ちゃんと出会えてよかった...

そう思いながら、佑唯ちゃんにこう伝えた。

莉:女の子好きになるなんて思わなかった...けど私今幸せ!

そう言ってニコッと笑ったら
佑唯ちゃんはそうだねって言いながら、頷いてくれてまた私の頭を撫でてくれた。

…………………………………


いつものように帰り道を歩いていると

梨:あっ、筆箱忘れた...

忘れ物に気づいた私は来た道を戻り、教室に向かった。


タッタッタッ

階段を登りもうすぐで教室、そんな時に

『アハハ...!』

誰かの笑い声が聞こえた。

まだ誰か残って話してるのかな?
そう思って教室に向かい、ドアからチラッと中を覗くと
そこには向かい合って座る二人の生徒がいた。

上村さんと今泉さんかな...?

二人が話してるのに中に入るのは申し訳ないな...
そう考えて動けずにいると

莉:女の子好きになるなんて思わなかった...けど私今幸せ!

上村さんがそう言っていた。

「女の子が好き...」

そう聞いて私と同じだと思った。
私も昔から女の子が好きだった...けど、誰にも言えず悩んでいた。

だから、同じ気持ちの子がいて嬉しかったんだ...。

でも同時に一つのことを思った。
それは、上村さんの好きな人が誰かという事。

知らなくていいことかも知らないけどやっぱり、気になっちゃうよ...

なんて思いながら二人の会話を聞いていると

ガタガタッ

二人は荷物を手に取り立ち上がった。

そして何故か私は焦って、咄嗟に鞄を抱き締めて学校を飛び出していた。



筆箱は結局教室に忘れたまま、
けどその事を考えるよりも、今は二人の会話の事で頭が一杯だった。

そしてふと思ったのは、上村さんと悩みが一緒で良かったという事。
そう思ったのは何故なのか、自分でも分からなかった。


梨:今度、相談してみようかな...



そう呟き、私は家に急いで帰った。