「A軍行っくぞー!」

雲ひとつない晴天の今日、欅坂女子高等学校では体育祭が開かれた。



2年C組でC軍である私の目には、A軍である一人の女の子が映っている。

その中で大きな掛け声をしたのは、私の恋人である志田愛佳。

学ランを着こなす愛佳は大人気で、学校の皆はタオルを片手に愛佳に駆け寄っている。

けど愛佳はどのタオルも受け取らない、そして日陰で座り込む私の元に歩いてきた。

志:友香、タオル...

子犬みたいな目をして私に手を差し出す愛佳は、
学ランを着ていて、髪は男の子っぽくしているのにとても可愛い。

私の膝に置いていたタオルを愛佳に渡せば、嬉しそうに受け取ってニコニコしている。

チャラそうに見えて、実は一途な愛佳にはいつもドキドキさせられてばかりだ。

胸をドキドキさせる私の隣に愛佳は座ろうとしていたけど、
A軍である、愛佳の出番が次なのを知っていたから
愛佳が隣に座る前にこう言った。

菅:愛佳もう出番でしょ?いってらっしゃい!

愛佳は少し不満げな顔をしていたけど、

志:分かったよ、ちゃんと見ててね?

そう言いながら私の頬を撫でて、みんなの元に走って行った。

私は太陽アレルギーだから、上下ジャージに頭にはタオルを被っている。

その為、熱中症とかになりやすいからと体育祭には参加出来ないのだ。

だからこうやって日陰に座り愛佳を見ているだけ。

出れないんだから休んだって良かったんだけど、愛佳の学ラン姿が見たいと来ることを決めた。

それにしても暑い...
動かなくたってこんな厚着じゃ熱中症になるよ、、。

そう思いながらスポーツドリンクを口にして、愛佳の出番を待った。

しばらくすると、黄色い声が聞こえ
すぐに愛佳の出番だと気づいた私は、立ち上がって愛佳を探した。

遠くてハッキリは見えないが、きっと一番前に居るのが愛佳だろう。

少し経つと音楽が流れ、それに合わせてA軍の皆が踊り始めた。

先頭に立って前に誰もいない状況、
だけどその姿は堂々としていて、遠くにいる私にもしっかりと今日までの努力が伝わってきた。

キャーキャーと愛佳に飛ぶ声、
太陽アレルギーじゃなきゃ、私も愛佳の一番近くに行って応援できたんだろうな。

そう思うと仕方ない事なんだけど、切ない...。



A軍の出番も終わり、私は涼しい保健室へと移動した。

上下のジャージを脱ぎ、半袖短パンになってソファに座る。

クーラーが当たりとても涼しい。

皆が暑い中外で頑張っている事を考えると、申し訳ないんだけどね...


基本保健室の先生も外にいるから、この涼しい部屋には私だけ。
それが私に更に心地良さをくれた。

ウトウトとしてきた頃

ガラガラッ

少し大きなドアが開く音に、私はビクッとなりドアの方を見ると
そこには汗をかいて、肩で息をする愛佳が立っていた。