〜二日後〜


私は今欅坂駅の改札に居る、時刻は十一時を回ったところ。

理佐はきっと寝坊だ...初めて遊んだ時を思い出す。

あの時は確か、四十分も遅刻したんだっけ?

なんて思い出に浸る事、十五分。

理:愛佳、ごめん...!

本当に申し訳なさそうな顔をして、謝りながら私の元に理佐がやってきた。

志:大丈夫!ほら行こう?

理:うん!

そう言って私達はホームに向かい、電車に乗りこんだ。

理:どこ行くの?

志:もうすぐ分かるよ!

吊り革に掴まりながら、首を傾げる理佐とそんな話をしていると

プシュー

ドアが開いて、降りる駅に着いた。

そして電車を降りるとすぐに、理佐が口を開いた

理:愛佳...まさか行くところって?

理佐は行く所に気づいたみたい、だから私は

志:うん!やっぱりここしかないでしょ?

そう言って笑ったら

理:そうだね、、!

なんて一緒に笑ってくれた。


目的地までは歩いて十分ほどだ、

そして歩いている間、私達はこんな会話をしていた。

志:ねえ、覚えてる?

理:何を?

理佐はマフラーの先端を揺らして、隣に居る私の方を向いた。

志:初めてこの道を歩いた時、
理佐は私の隣に並んでくれなくてさ、私その時すごく悲しかったんだよ!

不満げにそう言うと

理:ふふっ、そんなの忘れちゃった!ほら着いたよ!

意地悪な笑顔を浮かべてから理佐は、目的地を指さした。

志:まあ着いたなら仕方ないか...!

そう言って私は、夏休みの時のように理佐の腕に手を絡めて中に入った。

そう、私が遊ぶところに選んだのは


水族館だった...。



ここが理佐とねるって子の思い出の場所なのは知ってる。
けど私にとっても、理佐との大切な思い出の場所...

夏休みの時は、まだ距離も凄くあったし全然笑ってくれなかったのを覚えている...
まあ来れてよかったって言ってたけどね、、

だけど今ならきっとたくさん笑ってくれる、そう思ったんだ。


チケットを買って中に入ると、クリスマスイブという事もあり
沢山のカップルが手を繋いで居た。

素直に羨ましい、と感じた...

だけど今日は思いっきり楽しむって決めたから、悩むのはなし、だから理佐に

志:じゃあ楽しもうね!

そう言って二人で足を進めた。



そして水族館を周り終えると、時刻は一時半を過ぎた頃。

その為、とりあえず私達はご飯を食べる事にした。

志:久しぶりの水族館、どうだった...?

不安気味に聞くと、口角を上げた理佐がこう答えた。

理:すごい楽しかった...!

志:良かった、!

私は安心した、理佐が楽しんでくれてよかったって。

すると理佐が私の名前を呼んだ。

理:愛佳...?

志:ん?

理:後で、写真撮らない...?

嬉しかった、理佐からそんな事を言ってくれるなんて思っていなかったから

そう言えば、もう何ヶ月も一緒にいるのに写真は一枚もない。

なんて思いながら満面の笑みで

志:喜んで!

そう返事をしたら、ありがとうって笑ってた。

その笑顔が好きなんだ...


ご飯を食べ終わり、もう一度水族館の中に入った。
クラゲの元に向かうと、理佐がカメラモードを開いた。

理:愛佳カメラの方見て?

理佐にそう言われたけど、
顔が近すぎて多分耳が真っ赤だ...。

だから恥ずかしくてそっぽを向いていた

すると

理:ねえ愛佳?こっち見てくれないと嫌いになるよ?

冗談っぽい低いトーンに聞こえたけど、
私はビクッとして、すぐに理佐の方を向いた。

そして目が合うと、催眠術にかかったように体が動かなくなった気がした。

理佐はそんな私を微笑みながら見て

理:はい、ちーず!

カシャッ

そう言って、シャッターを押した。

固まる私を無視して、理佐はとった写真を見て笑っている。

理:愛佳なんでこんなに顔真っ赤なの!

その瞬間ハッとした私は顔を動かし、携帯をのぞきこんだ。

するとそこには、顔を真っ赤にしている私と
同じく顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに笑っている理佐が写っていた。

志:うち気持ちが顔に出すぎじゃん...

ボソッと呟くと、理佐がまた私の名前を呼んだ。

理:愛佳、、

志:ん?

理佐は真剣な顔で私を見つめていた。
だから私も理佐を真剣に見つめ返した、すると

理:うち愛佳に感謝してるよ...。
愛佳は過去ばっかり見てた私に、未来を見せてくれた
友達を信じる心をもう一度、私にくれた
道を外したままだった私を、正しい道に戻してくれた。
全部全部、愛佳のおかげ...!
そして、
どんなに私が冷たく突き放しても見捨てないでくれて、ありがとう。


理佐の目からツーと涙が流れた。

志:泣かないでよ、、

理:泣いてないし...!

そう言って理佐は涙を流しながら、ニコッと笑っていた。
私はそんな理佐の涙を右手で拭って名前を呼んだ。

志:綺麗な涙だよ、理佐...?

その言葉を聞いて理佐は、頬を赤く染めていた

そんな理佐の姿を見て、私は心を決めた。

志:真剣に聞いてね...

そう言うと理佐は、コクンと頷いた。

志: 私さ夏休み前にね、
理佐の笑顔を毎日みたいって、思った事があったんだ。
心が理佐で一杯になってね、
理佐のトラウマをなくせるような存在になりたいって、心の底から思った。
そしてその気持ちはね、今も変わらないんだ。
私はその時からずっと、理佐に恋をしているんだよ...?





カップルだらけの水族館。

その中で理佐へ気持ちを伝えると、
横にいるクラゲが、白色から赤色へと色を変えた。