渡邉さんの部屋にお邪魔した日から5日が経った。
今日はその時に約束した遊園地に行く日、
前の日の夜から何を着ていこうか、
部屋でずっと一人ファッションショーをしていたくせに、
結局いつもと同じでラフな格好にキャップをかぶりリュックを背負いスニーカーを履いて家を出た。
ガチャン
志:いってきまーす!
元気よく家を飛び出して、ルンルンと歌を口ずさみながら欅坂駅へと向かった。
長い電車の旅を終え、ホームにつくと遠くに渡邉さんと葵ちゃんがいた
志:渡邉さんと葵ちゃーん!
手を振ると渡邉さんはこちらを振り向いたけど葵ちゃんはキョロキョロと周りを見回していて私とは目も合わせてくれなかった、
理:おはよう...!遠くまでお疲れ様...!
志:おはよー!うん!
あの日を境に渡邉さんと私の距離はとても近づいたと思う
だって少し前までは全く目も合わせてくれなかったのに、今ではよく目が合う気がするから
理:じゃあ行こっか!葵...?
葵ちゃんは渡邉さんの背中にピタリと張り付いてその場に固まっていた
志:葵ちゃん...?大丈夫だよ!ほら行こう?
葵ちゃんに手を差し出すと、ゆっくりと震える手を伸ばしてきた、
だから私は震える葵ちゃんの手を思いっきり握って三人で歩き出した。
遊園地がある駅まで電車で移動して、駅からは徒歩での移動。
葵ちゃんと手を繋いで隣には渡邉さんがいる、
隣に並んで歩ける日がこんなにも早く来るなんてとても思わなかった
理:葵と愛佳いつまで手繋いでるの?
葵ちゃんと手を繋いだままでいると少し低いトーンで渡邉さんが私のことを見た
志:ずっとだよねー?
葵ちゃんにそう言うと、ビクッと体を反応させてゆっくり頷いた。
志:あー渡邉さんも手繋ぎたかったの?
冗談交じりで笑いながらそう言うと、渡邉さんは頬を真っ赤にしてそっぽを向いた。
志:えっ!?ほんとに繋ぎたかったの?
理:そんなわけないじゃん...
渡邉さんはそう言って俯いたけど、私は空いてる方の手で強引に渡邉さんの手をギュッと握った。
すると渡邉さんは私の手を握り返すものだから、心臓がバクバクと音を立てた。
志:素直じゃないなー!
理:うっさい!
また笑いながらそう言うと、
渡邉さんは私のことを鋭い目で睨んだが、その瞳の奥からは怒など感じなかった。
志:葵ちゃん、このお姉ちゃん怖いね...!
葵:...。
隣にいる葵ちゃんに声をかけると俯いているだけで反応してくれない。
理:愛佳ごめんね...
さっきまで睨んでいた渡邉さんが申し訳なさそうに謝った。
志:気にしないで!ほら、着いたよ!
そんな会話をしていたら、すぐに遊園地についた。
今日一日で葵ちゃんは笑顔を取り戻してくれるだろうか?
続