私の名前は平手友梨奈。
欅坂女子高等学校の2年4組。

このクラスにはスクールカーストというものが存在する。

そしてこのクラスでは一軍、二軍、三軍という風に分けられている。

一軍は志田愛佳さんや渡邉理佐さんなど極一部の人間だけだ。
そしてその一軍の中で更に上、簡単に言えばこのクラスのトップに立って居るのが守屋茜さんだ。

私達2年4組の皆は自分を守るのに必死。
だけどそんなの当たり前だ、
もし一軍の人の機嫌を損ねるような行動や反感を買うようなことをしてしまったら
すぐに三軍行き。

三軍になってしまったらそれは高校生活の終りを告げられたようなもの。

学校を辞めればいいなんて思う人もいるかもしれない。
だけどそんなのは甘い考えでこのクラスのことを何も知らない人の発言だ。

それは、このスクールカーストから逃げられるわけがないから。

じゃあ先生に言えばいいって?

それも甘い考え。

この世の中に漫画やドラマのように熱く燃えて生徒と向き合うようなそんな素敵な先生は存在しない。

先生は職を無くすまいと必死にくらいつき、一軍である彼女達に嫌われないよう、このクラスで起きる全てのことに目を瞑っている。

だから私は大人が嫌い。

このクラスの闇は2年4組にしか分からないもの。

それなのに今日は新しく転校生が来ると聞いた、
転校生なんて一軍の人からしたら恰好の餌食だ。


ガラガラ

するとドアが開き先生と転校生が入ってきた

私はバレぬよう
教室の窓際の奥に座る守屋茜さん、渡邉理佐さん、志田愛佳さんの表情を見た。
三人の表情はニヤリと不敵な笑みを浮かべている。
私はそんな三人を見て勝手に震え上がった。

急いで前を向き直すと転校生の子が自己紹介を始めた。

?:転校生してきました...長濱ねるです...

緊張した表情で自己紹介をした転校生は、きっと誰が見ても心を奪われるような可愛さで、なんであんな子がこの最悪のクラスになってしまったのかと頭を抱えた。

このクラスと言うだけで災難というのに、転校生の席は不運にも
渡邉理佐さんの前、志田愛佳さんの右隣、守屋茜さんの右斜め前という一番最悪の席だった。

何にせよ、一番怖いのは転校生がこの教室に存在するスクールカーストの存在を知らないことだ。

もし守屋茜さんに話しかけてしまったら、なんて考えるだけで怖くてたまらない...

それにあの3人は転校生が席に座ってからずっと転校生のことをニヤニヤと見ている。

だけどきっと転校生が来たことで喜んでいるクラスメイトも居るはずだ、

例えば、渡辺梨加さんや原田葵さん。

彼女達はスクールカーストでいえば一番下である三軍の生徒。

原田さんはいつも一軍の人達にパシリに使われたりしていて、渡辺梨加さんは毎日酷いイジメにあっている。

だからこそ転校生に目がいくことをきっと望んでると思う。
けれど三軍から二軍にあがるなんてそんな可能性はほぼ無い...

だけどクラスのみんなは助けることなんて出来ないんだ...

誰も逆らうことなんてできない

もちろん私だってそうだ...

だってこの教室では守屋茜さんが絶対だから...




キーンコーンカーンコーン



朝のホームルームが終わった。

そして始まった、いつもの事が...

それはあの3人がいつもすること


守:早く立てよ

梨:...

渡辺梨加さんに低いトーンで言った守屋茜さんの言葉は誰もが恐れる。


あの3人はホームルームが終わると渡辺梨加さんをいつもどこかに連れていく。
どこに連れていきそこで何をしているのか本当のことを知るのは一軍の人だけで、それ以外の生徒は詳しくは知らない。

だけどきっと最悪な事ってくらいは分かる...

だっていつもしばらくして帰ってくる渡辺さんを見れば想定くらい出来るから。


そしてその状況をみた長濱さんは口をポカンと開けてとても驚いていた


そりゃそうだよね...



私は一軍の人達がいない間に長濱さんにスクールカーストの存在を知らせなければと思い、机を立ち上がり長濱さんの元に向かった。

トントンッ

長:ビクッ

長濱さんの肩を後ろから叩くと、ビクッと体をさせてこっちを振り向いた

平:長濱さんだよね?

長:はい...そのこのクラスって

長濱さんはこの場で色々話そうとしていたから私は急いで彼女の口を手で塞ぎ、手を引いて教室から少し離れた廊下に向かった


平:突然ごめんね、私は平手友梨奈...!よろしく!

まずは自己紹介をした。

長:よろしくお願いします...!それでなんで場所を移動したんですか?それにさっきのって...

平:これから言うことしっかり聞いてね。

そう言うと長濱さんは覚悟を決めたみたい

長:はい...ゴクンッ

平:まず私達のクラスにはスクールカーストというものが存在するの。
それのトップに立つのが守屋茜さんって言う人なんだけど、
絶対にその人には逆らっちゃダメ!
それと長濱さんの後ろの席と左隣の席の人たちにも逆らっちゃダメだめ!
あの3人は本当にやばいから...いいね?
 そして場所を移動した理由はあの三人がいなくたって二軍の中で上の存在である齋藤冬優花さんと織田奈那さんが私達を監視してるからここまで来たの。
とにかく絶対に逆らっちゃダメだからね!
そうすればきっと大丈夫...!

長:...。

長濱さんは私の話を聞いて驚きを隠せないでいた
けれどきっとその反応が正解だ。
逆にこれで顔色一つ変えない人がいるわけが無いから...


こうして私は、ちゃんと長濱さんに忠告したはずだった。

だからこの後、長濱さんがあんなことをするなんて思ってもいなかったんだ...