水族館への道のりは欅坂駅から電車に乗り
水族館のある駅で降りて、10分ほど歩くと着く
水族館のある駅について渡邉さんと歩く
だけど渡邉さんは私の少し後ろを歩いている、決して隣に並んではくれない...
ちゃんと着いてきてるかな?って確認するためちょくちょく後ろを見るけど渡邉さんは下を向いて歩いている
それに離れてるから会話はないし周りから見たら知り合いだなんてきっと思われない。
そんなことを考えれば考えるほど私の心悲しくて切なくてつらい...
10分ほど歩くと水族館が見えてきた
志:やっとだ!渡邉さん行こ!
理:!?
そう言って私は渡邉さんの腕を掴んで中へと入った
志:ねえねえ!渡邉さんみてよ!クラゲだよー!こんなに沢山!
私は今日の出来事が渡邉さんの頭の中で楽しい思い出となるように、水族館の中ではたくさん話しかけて盛り上げた。
一通り見終わると時刻は14時だった
お昼を食べていなかった私達は水族館の中にあるレストランでご飯を食べることにした
志:やっぱり水族館はいいね!
理:うん
志:特にクラゲは大好き!
理:うん
志:けどペンギンも可愛かったね!
理:うん
いくら渡邉さんに話しかけても素っ気ない返事しか返ってこなくて、メンタルの弱い私には少しきつかった...
だから渡邉さんに正直に聞いた
志:渡邉さん退屈だった...?水族館嫌いだったとか?
理:退屈じゃないよ、それに水族館は好き...
渡邉さんは下を向いたままそう答えた
志:そっか!なら良かった!
そう言ったはいいけど渡邉さんの口角が今日は1回もあがっていない、、
志:はぁ...
楽しませられていない自分が情けなくてため息をつくと渡邉さんが小さな声で
理:退屈そうに見えた...?
と言った
志:うんまあ、渡邉さんの口角あがってないからさ...
理:そんなことない...
志:ん?なんて言った?
渡邉さんの声が小さくて聞き取れず聞き返した
理:退屈じゃないよ...
志:えっ...
理:だけど水族館に来ると親友を思い出して悲しくなった...だから笑えてなかったんだ思う...けど私は貴女と来れてよかった...
下を向いたまま渡邉さんがそう言った
嬉しくてたまらなかった
だってあの渡邉さんが私と一緒にこれてよかったなんて...!
だけど貴女って、名前覚えてないのかな?
そこに突っかかった私は渡邉さん聞いた
志:あのさ、、もしかして名前覚えてない?
そう聞くと渡邉さんは
理:うん
真顔で答えた
テンション上がってたのに一気に下げられた...
ショックで下を向いていたら
理:嘘だよ...志田愛佳だよね?あからさまに落ち込まないでよ!
その声を聞いて顔を上げると渡邉さんも顔を上げて笑っていた
その時見た笑顔が私が初めて見た渡邉さんの本当の笑顔だった。
ずっとずっと見たかった笑顔が見れたんだ、
この時私は少しずつ渡邉さんが私に心を開いてくれてるような気がして本当に嬉しかった
志:覚えてくれてたんだ!
理:そりゃあ私に話しかけてくるの貴女くらいだから
渡邉さんは何故か名前を知ってるのに私を貴女呼びだ。
志:だから貴女じゃなくて志田愛佳!ちゃんと名前で呼んでよー!
笑いながらそう言うと
理:愛佳...
小さな声で私の名前を呼んだ
志:今、愛佳って呼んだよね!ねえ!呼んだよね!!
テンションが上がっていると
私とは真逆なテンションの渡邉さんがこう言った
理:やっぱり葵みたいだね
だけどこの言葉は前にも言ったようにポジティブに捉えればとてもいい意味!
だから私は葵みたいだねって言われるのが嫌じゃないしむしろ嬉しかったりするんだ...
だけど渡邉さんの妹である葵ちゃんの事は詳しく聞いたことがない、
気になった私は渡邉さんに聞いてみた
志:ねえ、葵ちゃんってどんな子なの?
そう聞くと渡邉さんは何故か深刻な顔をしてこう答えた
理:葵は元気な子...いつも笑ってて本当に大好き、だけどそれは家だけなんだ
志:えっ?
理:葵は、学校に行ってない...ううん行けないんだ...。
志:どういうこと?
詳しく聞こうとしたけど聞くと
理:この話は終わり!もう帰ろっか?
そう言って、渡邉さんはそれ以上何も教えてはくれなかった
志:そうだね、、、あってか連絡先教えて!!
また夏休み中に遊びたかった私は連絡先を聞くことにした
理:うん
渡邉さんと連絡先を交換して水族館を後にする
帰り道も決して渡邉さんは私の隣ではなく少し離れた私の後ろを歩く
学校の帰り道もいつもこんな感じ
一番最初に帰った時は違ったのに...
なんて、考えてるうちに欅坂駅に着いた
欅坂〜欅坂〜
プシュー
理:じゃあ私は乗り換えだから
志:うん...またね...!
渡邉さんとの時間はすぐに過ぎてもう終わり
このドアが閉まったらもう終わりなんだ
そう考えるととても切ない
時間が止まればいいのになんて思った
だけど止まるはずもない時間は進み
ドアが閉まる
だけどドアが閉まる瞬間に渡邉さんが
理:今日はありがとう...
少し照れた顔でそう言った
私はその言葉を聞いて胸が高まった
まだ一緒にいたい。
そう思ったけどドアは閉まり電車は進み渡邉さんは既に遠くだ
帰りの電車、私の頭の中ではずっと渡邉さんの言葉がループしていた
そして
やっぱり好きだな。
そう確信した1日だった
続
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
お知らせ
中編.トラウマは私がなくすよ?をお読みいただいてる方ありがとうございます!
お知らせなのですがこの小説、中編って書いてますが多分30話ぐらいまで行くと思われますw
なので次からはタイトルから中編をとりますw
お知らせはこれだけですww
これからもよろしくお願いします!