教室を出て4組へと向かう
志:渡邉さん!
4組に着いてドアから名前を呼ぶ
だけど渡邉さんはいつものように窓から外を見ていつものように振り返らず私の声を無視する
だけどこれにも慣れた
私はゆっくり歩いて隣に並んで渡邉さんに話しかけた
志:行く場所決まったよ?
理:うん
興味無さそうな返事
志:水族館行こ!
理:水族館...
水族館ということを聞くと、渡邉さんは何か楽しいことを思い出してるかのように口角が上がった
そんな渡邉さんに集合時間、場所を教えた
志:次の土曜日の11時に欅坂駅に集合ね!
理:...
まだ楽しいことを思い出しているのか返事がない
志:渡邉さん聞いてる!?
強めに言うと渡邉さんは上がった口角を下げ
理:うん、聞いてるよ。
低いトーンでそう言った
志:じゃあ私もう行くから!土曜日にねー!
理:うん...
そう言って私は教室に戻った
志:水族館にどんな、思い出があるんだろう...
せっかく2人きりで遊ぶんだし、少しくらい進展したいな...
そう呟き終業式を、迎えた
終業式を、終えるとすぐに下校となった
だから私はいつものように渡邉さんの元に向かった
志:渡邉さん?
ドアから教室を見ると、いつも渡邉さんがいる窓の所に渡邉さんは居なかった
志:あれ?
おかしいなと思い教室を見回すと机に顔を伏せている渡邉さんが居た
志:珍しいな
近づいて肩を叩くと渡邉さんが起きた
だけど渡邉さんをみてわたしは驚いた
だって渡邉さんの頬に涙が流れていたから...
…………………………
一方理佐は
彼女は行く場所を水族館にしたと私に言った
その時、私はねるとの水族館での思い出を思い出した
『ねえ!理佐みてー!クラゲ可愛いよー!』
『ほんとだね!』
『理佐!ここでクラゲと一緒に写真撮ろうよー!』
『うん!』
あの時は楽しかった。
一秒一秒を大切にしていた
ねるの私を呼ぶ時の笑顔が好きだった
ねるとの写真をたまに見返すとこの時は二人でこんな楽しそうに笑ってるのに
どこで道を間違えたんだろうって考える
こんなに過去のことを思い出し後悔するのは良くないってわかってる
過去に囚われ、過去にもがく
だけどどうしても、抜け出さない。
今は机に伏せてそんなことを考えていた
すると後から彼女の声がした
志:渡邉さん?
起き上がると彼女は驚いた表情で私を見た
理:?
何でだろうと考えていたら机に1粒の涙が落ちた
私はまた、ねるのことを考え泣いちゃってたんだ...
恥ずかしくなった私は立ち上がって教室を出ようとした
すると彼女が私の腕を掴んだ
理:?!
志:まって!
理:なに...?
止まらない涙のせいでうまく喋れない私に、彼女は質問してきた
志:なんで泣いてるの...?
理:関係ないでしょ...
なんで泣いてるの?と聞いてきた彼女に対して私は冷たく言葉を返した
志:教えて
理:離してよ...
志:やだ
理:離してってば!
強く言うと彼女は子犬のような表情になりシュンとして私の腕を掴む手を離した。
そんな彼女を見て申し訳なくなり謝った
理:ごめん...
志:じゃあ教えて?
理:まだダメ...
そう言うと彼女は
志:わかった...じゃあ教えてもらえるような関係になるまで待つね!
そう笑顔で言った
志:じゃあ帰ろ?
理:うん...
返事をして教室を出た
前までは一人で帰るのが当たり前だった、だけどいつしか彼女と帰るのが当たり前になっていた
こんなふうにいつしか彼女に悩み事や辛いことを話すのが当たり前になる日が来るのだろうか
そこまで彼女は私に必死になってくれるのだろうか
そんなことを考え彼女と夏休み前最後の下校をした
続