今月初めに無事、青森での講演を終えてきました。意外にも場内は満席で驚きました。講演中に寝ている人がいなかったのも大きな支えでした :-[
僕は特に執筆活動もしていませんし、メディアに登場して精神医学とはなんぞや、とかいうことも、ましてやお悩み相談のラジオ番組も持っていません。ただ人と会って話しを聴き、アドバイスや必要とされる環境を用意して患者さんの手助けをしているだけですから講演はイレギュラーで、正直精神的にはかなり堪えます :-〈
行きの飛行機の中で読んだ新聞に僕の好きな絵本が日本語に翻訳されて、最近人気だと書かれていました。
シェル・シルヴァスタインさんの『The Giving Tree』は日本語では『おおきな木』と翻訳されていますが、翻訳したのは村上春樹さんとのこと。もちろん、青森についてすぐに本屋に行って買いました。
あるところに大きなリンゴの木があり、木には仲の良い少年がいました。少年はいつも木の側にいて共に過ごしますが、少年は成長して木から遠ざかって行きます。幸せな時間はあっという間に過ぎてしまう。
ある日すっかり青年に成長したかつての少年がやってきて、お金が必要なんだと語りかけてきました。リンゴの木はあるだけのリンゴを町で売るよう勧め、その後も青年にあるだけのものを与え続け、やがて枝やその幹まで与え、切り株だけになってしまった。
与える物がなくなった木のところに、やがてかつての少年であり、青年だった老人が現れた。だが疲れ果てた彼は何も要求してこない。何もいらないという彼にかつてのリンゴの木は「じゃあ、私にお座りよ」と勧める。
僕のオフィスには愛が欲しいと涙する人も来ますが、愛を与えたいんだと悩み苦しむ人も来ます。そして何も欲しくないんだと心を閉ざした人もきます。
多すぎても少なすぎても傷付き、その先には存在さえ否定され、愛という存在は難しい存在です。