☆ペットの想い出☆ 「ピッピ」(前半) | ほんま...ノイローゼになるわ。





あれは俺が小3の頃の話である・・・・



いつものように団地の下にある公園に行ってみると同級生達が砂場で遊んでいた。

砂で大きい山を作り、トンネルを貫通させてある生き物を歩かせて遊んでいた。



ひよこ
である。



当時、お祭りなどの屋台で結構見かけた「ひよこ釣り」。



最近じゃすっかり見なくなったのだが、その当時は大きな祭りの屋台では、その「ひよこ釣り」は子供達に

人気があり、けっこう賑わいをみせていたものである。


 


親が一緒の場合、ひよこを持ち帰る事を その場で200%完全却下されるので問題はないのだが、

子供どうしで祭りに行き、テンションも異様に上がっている状態で ひよこ釣りをした場合、、

勢いで持ち帰ってしまうケースが多々あったのである。

その「ひよこ釣り」でもらったひよこを持って帰ったはいいのだが、飼うのは大変だという事に後で気付き、

困り果てるケースも多かったと思う。

飼ったとしても、ひよこ釣りのひよこなんかは、もともとかなり弱っており、そのうえ満足な飼育も出来ない

という事になれば途中で死なせてしまったりする可能性は非常に高くなる。





砂場で遊んでいる同級生の一人が俺にこう言った。



「なぁ!たのむからこのひよこ、もらってくれへん?!」



どうも、この同級生、ひよこを一旦家にもって帰ったのはいいのだが、その後 親に怒られ、

「屋台に返して来い!!」と言われたみたいなのだが、行く事も出来ずに途方に暮れて、

ここで遊んでいたようなのである。



もし俺が断ったら、おそらくそのまま放置されるであろう ひよこ・・・

その後はおそらく野良猫やイタチのエサになるか、誰かになぶり殺しにされるような気がしてならない。



ふと、ひよこを見る・・・・




 
 (イメージ拾い画)


 


「むちゃむちゃかわいいやんけ。うぅぅ・・・ 俺を見て鳴いてるでぇ





気付けば、俺は一人でひよこを抱いて公園で考え込んでいた。



「家に大きめのお菓子の段ボール箱あったなぁ。

        それと、こいつのエサやなぁ・・・ミミズでええかぁー」




俺は団地裏の花壇に行き、石をどけてミミズを10匹ほど捕まえ、家に帰った。



共稼ぎの両親をもつ俺は、誰もいない家で(この日は妹もいなかった)ひよこを走り回らせながら、



「おかんに言うたら200%拒否やな・・・家族に隠し通して飼ったんねん!」




・・・と本気で考えていた。 大豪邸じゃあるまいし、そんなもん音速でバレるに決まってるのである。

しかし、あの頃はええ感じでアホ満開なのである。




このひよこを「ピッピ」と名づけた。




「ピッピ!そろそろ誰か帰ってくる頃やから、箱に入って大人しくしとけ!」



俺は、結構深さのあるお菓子の空き箱のふたを鉛筆でブス!ブス!と空気穴を開けて、そこにピッピを入れて

フタをした。最初はものすごくピヨピヨ鳴いてうるさいのだが、しばらくするとに静かになる。

どうも夜だと勘違いして諦めて寝るようである。 

そのピッピを入れた箱とエサ用に捕まえたミミズ10匹程入ったキャラメルの空き箱を

急いでベットの下に隠した。

その夜、バレる事なく何とかやり過ごした・・・・・ように思えたのだが、やはり音速でバレてしまった。




逃げだしたのである。




ミ、ミミズが・・・・・




姉が寝るために、一足先に寝室に行ったのだが、電気つけたら床にミミズウニョウニョほうてて、




 
「ギャア~~~~!!」



 


姉のものすごい悲鳴と共に全てが明るみになったのである。



 
「・・・・・・・・・・・・・(焦)」
 





 
「 ミ、ミ、ミミズが部屋ほうてる!(泣)」




 
母・父 「ひろ~! ちょっと来い!!!







その夜、「返してこい!」の一点張りの親を何とかかんとか説得し、ピッピとの生活が始まった訳なのだが、


結構世話は大変であった・・・


俺が学校から帰ってくると、ピッピは家で放し飼い状態である。

いくらひよこと言っても、俺がご主人様とわかっているのかと思うほど、俺が呼ぶと駆け寄ってくるピッピが

かわいくて、結構仲良しであった。


かわゆいかわゆいひよこの時期なんか、あっという間に終わり、

中途半端な小さめのニワトリのとさかのない生き物みたいな感じにまで成長した頃には、同じ住宅で

同時期にひよこを飼いだした多くの少年たちの中でも、ちゃんと世話をして生き残ってるひよこは少なく、

ほんの数名になっていた。



散歩に連れて行かなくてはならないので、毎日ピッピを両手で持ってエレベーターで団地の裏庭へ

行くのである。そりゃもう、ピッピはこの散歩が大好きで大喜びなのである。まずは小石を食べ、

(歯を持たないニワトリは、小石や砂を飲み込んでおいて消化の助けとする)

俺が大きい石などをどかせて、そこにいるミミズや昆虫などをピッピはハイテンションで食べるのである。


一通り散歩すると家に帰り、夜には一緒に風呂に入る。

今思えば、ええのか悪いのか知らんが、シャンプーリンスをしてた記憶がある。

ぬるま湯で流してやると、ピッピは目を閉じて気持ちよさそうにしていた。

近所で風呂に入ってるニワトリはピッピだけやったみたいで、近所のニワトリの中でも断トツに真っ白で

フワフワなニワトリに成長していった。近所のおばちゃんらに散歩の行きしなにエレベーターで会うと、



「まぁ~こんなフワフワの真っ白なニワトリ

          初めて見たわ~
!!」




って当時、言われていた。「一緒に風呂入ってんねん」って言うたら、ちょっと引いてたけど・・・


晩飯の時なんかは、家で放し飼い状態なので、テーブルの下で、幼い俺や妹がポロポロとこぼすご飯を

喜んで食っていたのを今でも覚えている。

でもそこらじゅうでフンをするので、そのたんびに母親から



「はよティッシュできれいに拭かんかい!


と、睨まれるのである。


いつしかピッピはしっかり家族の一員になっていたのである。




そんなある日、学校から帰ってきた俺はピッピのある異変に気付いたのである・・・・



つづく